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政治山ニュースまとめ

「オバマ氏勝利、米大統領選2012」まとめ


世界中が注目した4年に一度の米大統領選が7日(日本時間)、現職のオバマ氏の再選という結果で幕を閉じました。今回の大統領選は、経済の立て直しや雇用創出といった内政問題を主な争点に選挙戦が展開され、勝敗にかかわる“激戦州”を抑えたオバマ氏が勝利を勝ち取りました。ここでは、「政治山ニュースまとめ」特別編として、2012年米大統領選に関連するニュースを集めました。(2012/11/9 政治山)

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オバマ v.s. ロムニー

税金や雇用、移民問題、外交政策など、米政府には課題が山積みです。まず最初に、それぞれの問題に対してオバマ氏とロムニー氏がどのようにアプローチしていたかを見てみます。(1/3ページ)

〈税金〉

  • オバマ大統領は繰り返し、中流層に対する増税には否定的な考えを示す一方で、富裕層に対する増税を示唆している。

    オバマ大統領はまた、2012年2月に法人税の35%から28%への引き下げを柱とした法人税改革を明らかにしている。

    ロムニー氏は税率の引き下げを目指しており、所得税の最高税率を現在の35%から28%へ引き下げる方針を明らかにしている。このほか、最低税率も現行の10%から8%へ引き下げるとしている。中流層は25%から20%へ下がる見通しだ。ロムニー氏は、最低代替税(AMT)の廃止なども計画している。

〈連邦債務・財政赤字〉

  • オバマ大統領は、年間所得20万ドル以上の個人と同25万ドル以上の世帯をブッシュ減税から外すことで、税収を増やしたい考え。

    ロムニー氏は、3方面からの対処を掲げている。1つ目が歳出の削減で、医療保険制度改革(通称オバマケア)の撤廃をはじめ、全米鉄道旅客公社(アムトラック)の民営化や非営利団体「米家族計画連盟(PPFA)」への財政支援の削減、対外資金援助の縮小などを目指している。ロムニー陣営の試算によれば、オバマケアの撤廃によって950億ドルの歳出を削減できるという。
    2つ目は、州政府に権限を与え連邦政府による管理を緩和することで、1000億ドル以上の歳出削減が可能だという。
    3つ目が、連邦政府の人員削減などの効率化によって1120億ドルの歳出削減が行えるとしている。
    しかし、ロムニー氏の計画では向こう10年で赤字が3兆4000億ドル膨らむとみられている。

〈雇用〉

  • オバマ大統領は2012年の一般教書演説でも引き続き雇用創出に向けた政策を推し進めると言明した。そのなかには、国内製造業を活性化させるための取り組みや、自由貿易協定を通じた輸出の拡大、国内での雇用を維持するための税制、教育や職業訓練への支援などが含まれる。
    しかし、議会運営が停滞しており、雇用関連法案の多くは審議されないままだ。

    ロムニー氏が考える雇用創出策は、「人的資源」に対する重点的な投資や、法人税の引き下げ、医療保険制度改革(通称オバマケア)の撤廃、「ブッシュ減税」の延長などが挙げられる。

    ロムニー氏はまた、オバマ大統領との違いを際立たせるために、教育やインフラ建設といった連邦政府による支援のおかげで米国の繁栄があるとしたオバマ大統領の発言に対し、起業家精神が米国繁栄につながったとの見方を示している。

〈医療保険制度改革〉

  • 歴史的にみればオバマ大統領の最大の功績は医療保険制度改革(通称オバマケア)の成立だろう。 議会では共和党の激しい抵抗にあったものの、民主党は保険対象者範囲の拡大を目指す医療保険改革法を2010年3月に成立させた。

    ロムニー氏は、オバマケアが連邦政府の権限を逸脱していると指摘。その理由として、米国民全員に加入を義務付けている点を挙げている。一方、マサチューセッツ州の医療保険制度は州内に限られており、同州の人々に当てはまるよう調整されているとしている。

〈移民問題〉

  • 最高裁がアリゾナ州の移民法についての判断を下す直前の6月中旬、オバマ大統領は、30歳以下の不法移民で高校の卒業証書かそれに匹敵する学位や軍隊で勤務した経験を持つ者に対して、国外追放を停止する大統領令を発表した。
    この大統領令は、共和党から激しい非難を浴びた。同様の措置をとるための法案「DREAM法」がすでに議会で否決されていたためで、共和党はオバマ大統領が、民主的な手続きを回避しようとしたと批判している。

    ロムニー氏によれば、オバマ大統領が移民の子どもたちについて国外追放を停止する大統領令を出したことについて、「選挙を4カ月半後に控えた政治的な動機」に基づいたものであるとの見方を示している。

〈外交政策〉

  • オバマ大統領の最高の業績のひとつは国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害だろう。

    しかし、ビンラディン容疑者殺害に際してはパキスタンの主権を侵害したほか、無人機による攻撃で民間人の死者を出したことで、パキスタンとの関係は悪化した。
    イスラエル・パレスチナ問題の解決に向けて、イスラエルを支援していないかのように見えるとして批判を受けてもいる。

    大きな違いは、ロムニー氏はシリアについて、米国がアサド大統領退陣を先頭を切って要求し、反体制派を支援すべきだとしている。オバマ政権の立場はもっと中立的で、外交的解決を探っているが成功はしていない。 ロムニー氏は、中東問題に関して、オバマ政権のような仲介者の役割ではなく、イスラエルと共同歩調を取るべきとの考えを示している。

〈人工妊娠中絶〉

  • オバマ大統領は、人工妊娠中絶を女性の権利とした最高裁の判断(ロー対ウェイド訴訟の判決)を支持する姿勢を見せている。
    部分出産中絶禁止法を擁護する最高裁の判断について反対するなど、妊娠中絶についての選択を尊重する立場を維持している。

    ロムニー氏は繰り返し、人工妊娠中絶を女性の権利とした最高裁の判断(ロー対ウェイド訴訟の判決)を覆す判決を支持するとしているほか、人工妊娠中絶は州レベルで判断すべきとしている。

〈政府の役割〉

  • オバマ大統領は多くの民主党議員と同じように、人々の暮らしやインフラの建設、規制、経済成長に連邦政府が重要な役割を担っていると考えている。

    小さな政府を志向する右派はオバマ大統領の景気刺激策について、連邦政府による過大な介入の典型だと批判しており、債務の拡大によって国の財政状況が悪化すると非難している。

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