政治山ニュースまとめ
社説
オバマ大統領の再選が決まり、米政府はこれからどこへ向かうのか。日米関係や対中政策はどうなるのか――。今回の結果を受けて、日本の新聞各社がどのように論じているかを読み比べてみましょう。
◆オバマと日本―東アジアで共同作業を◆朝日新聞
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アジア・太平洋重視を打ち出し、「核なき世界」を訴えるオバマ外交の継続は、日本にとっても歓迎すべきことである。
次の4年間、日本からも主体的に米国に働きかけ、取り組まねばならない。
日米関係の懸案である沖縄の基地問題について、首脳同士で仕切り直しをすることである。もはや不可能となった普天間基地の辺野古移設に固執することは、沖縄と本土との溝を深め、結局は日米間の信頼関係をも揺るがすだけだ。
■オバマと日本―東アジアで共同作業を■朝日新聞デジタル:社説(2012年11月9日)
国内・国外をふくめ、新たな移転先を本腰を入れて探るときではないか。
◆米大統領選 続投オバマ氏を待つ財政の崖◆読売新聞
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オバマ氏は、「1期目の任期中に財政赤字を半減する」との公約を実現できなかった。雇用創出も思うようには進まず、失業率は8%近くに高止まりしている。
それでも再選できたのは、経済再建や安全保障分野での実績がおおむね評価されたからだろう。「負の遺産」だったイラク戦争を終わらせ、アフガニスタンからの米軍撤収にも道筋をつけた。
外交・安全保障政策でも、北朝鮮、イランの核開発やシリア情勢など懸案が山積している。
特に注目したいのは、経済・軍事で膨張する中国への政策だ。
米国が「太平洋国家」としてアジア重視の戦略を打ち出していることは、地域の安定と繁栄に大きな意味を持つ。米国は同盟国の日本をどう位置づけ、中国とどのような関係を築くつもりなのか。日本も、米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)への早期参加を目指し、米国と政策協議を重ねる必要がある。自らの役割を果たす中で、日米関係をより強固にしていかなければならない。
■米大統領選 続投オバマ氏を待つ財政の崖■YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2012年11月8日)
◆オバマ大統領再選 チェンジの約束実現を◆毎日新聞
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オバマ大統領の再選を祝福したい。ブッシュ前政権(共和)からアフガニスタンとイラクの軍事作戦、リーマン・ショックに始まる経済危機を「負の遺産」として引き継いだ苦労は並大抵ではなかったはずだ。
だが、米国は来年早々、減税打ち切りと歳出の強制的削減による「財政の崖」に直面して景気が悪化しかねない。オバマ政権が国民皆保険をめざして導入した医療保険制度改革も、共和党は廃止に追い込むことを狙っている。年間1兆ドルに上る財政赤字の削減や債務圧縮を迫られるオバマ政権にとって、共和党との融和は必須の課題である。貧富の差や人種、性別を超えた国民和解が必要だ。
日本を取り巻く安全保障の環境は変化している。日本の懸念や日米安保が直面する諸問題について、政府首脳は率直にオバマ大統領と話し合う必要があるはずだ。理念を重んじるオバマ大統領と日本の関係が緊密化することを期待したい。
■社説:オバマ大統領再選 チェンジの約束実現を■毎日jp(毎日新聞)(2012年11月08日)
◆日米が手を携え世界の安定支えよ◆日本経済新聞
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米大統領選は共和党のロムニー候補が終盤に追い上げ、民主党のオバマ氏と接戦を展開した。「大きな政府」か「小さな政府」か。米国の政治土壌が二極化していることが改めて浮き彫りになった。
与党・民主党が上院、野党・共和党が下院の多数を占める「ねじれ議会」も解消されない。多くの重荷を背負うオバマ氏の前途が明るいとは言いがたい。
まずは「財政の崖」を回避すべきだ。大型減税の失効や歳出の強制削減が重なり、13年から急激な財政引き締めが始まりかねない。米国だけでなく世界全体の経済を危険にさらすことになる。
すべての所得層の減税継続を訴える共和党と、富裕層には増税を求めたい民主党の対立は根深いが、最悪の事態だけは避けなければならない。双方が早く折り合い、合意点を見いだしてほしい。世界経済の減速感が強まれば、保護主義や通貨安競争の土壌が生まれやすくなる。そんな内向きの圧力を抑え、グローバル化や市場経済の果実を取り込むために米国と日本が協力していくべきだ。
オバマ氏が打ち出したアジア重視の外交方針は2期目も維持される見込みだ。ただ、財政難で国防費の大幅削減を余儀なくされるのは確実である。在日米軍の抑止力におんぶにだっこという甘えを、日本は捨てた方がよい。
日米が一体となって世界のために何ができるか。共通の目標を持つことも同盟強化に資する。紛争地域での自衛隊の平和維持活動の枠を広げたり、発信元が不明なサイバー攻撃を防いだりするグローバル協力など、日本にできることはたくさんある。
■日米が手を携え世界の安定支えよ■日本経済新聞(2012年11月8)
◆オバマ米大統領再選 融和を歴史に刻めるか◆東京新聞
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勝利宣言でオバマ大統領はロムニー陣営の健闘を称(たた)え、今後の協調へ手を差し伸べた。それは取りも直さず、共和党との融和、分断国家の克服がいかに難しいかを物語ってもいよう。
「大きな政府」か「小さな政府」か。「支え合い社会」か「自己責任」か。「協調外交」か「力による外交」か。選挙戦を通じて提示された対立点は際立っていた。最後まで大接戦を演じたとはいえ、獲得選挙人の数で見る限り国民の審判は明快だった。
冷戦終結から中枢同時テロを経て、国際秩序の中で新たな指導的役割を探しあぐねる米国。今回の選挙は米国が置かれたこの時代状況下、民主党、共和党とも有効な国家像を示し得ないもどかしさに対する国民の不満が噴出した選挙でもあった。
目に余る党派対立に嫌気がさして今回出馬を辞退した共和党穏健派のスノー上院議員がその理由を米紙上で語っている。「全ての声が聞き入れられ、考慮されたことを保障する制度として上院は創設されたはずではなかったか」。オバマ大統領、ロムニー氏とも、建国理念に沿って協力する姿勢を示唆してはいる。今こそ耳を傾けるべき言葉ではないか。
■オバマ米大統領再選 融和を歴史に刻めるか■東京新聞(2012年11月8日)
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