政治山ニュースまとめ
社説 <全国紙>
石原氏の都知事辞任と国政復帰は、いろいろな側面から賛否が語られています。新聞各紙も、その立ち位置によって、さまざまな見解を表明しました。ここでは、各社の「社説」を見ていきます。まず、全国紙の社説を、次ページで地方紙の社説をまとめます。
◆石原都知事辞任 国政復帰に何が期待できるか◆読売新聞
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石原氏は、国民の生活が第一の小沢一郎代表との連携は否定し、橋下徹大阪市長の率いる日本維新の会などと連携していく考えを示した。自民、民主両党とは一線を画し、保守勢力の結集による「第3極」を狙っている。
「最後のご奉公」という石原氏の行動が、与野党の不毛な対立で閉塞感の漂う国政に一石を投じることになるだろうか。石原氏は記者会見で、「硬直した中央官僚の支配する制度を変えなければ駄目だ」と官僚制度の在り方を激しく批判した。持論の憲法改正や沖縄県・尖閣諸島の実効支配の強化策なども力説した。
国政の現状に対する問題意識には、うなずける点もある。
ただ、かつて25年余も国会議員を務めた石原氏が、昨年4選を果たした知事を途中で辞め、国政復帰を目指すと言う以上、もっと具体的な政策と、それを実現する戦略を語ってもらいたい。石原、橋下両氏ら人気の高い首長をトップに据える新党が、国民から一定の期待を集めている。
■石原都知事辞任 国政復帰に何が期待できるか:社説・コラム■YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2012年10月26日)
これは、「決められない政治」に陥っている既成政党に対する不信や不満が強いことの裏返しでもあろう。民主党内には、石原新党がさらに離党を誘発することに警戒感がある。自民党にも、保守票の分散への懸念があるという。
石原新党が今後仕掛ける「政界再編」が、果たしてどんな波紋を広げるか見定めたい。
◆「石原新党」結成へ 「第三極」理念が問われる◆毎日新聞
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民主、自民両党に対抗する勢力の結集をめぐる動きが活発化することは確実だ。石原氏が前向きとみられる、橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会との連携も焦点となる。いわゆる第三極の結集論議があくまで政策本位で進むかが問われよう。
改憲、対中強硬路線で知られる石原氏率いる新党の参入はとりわけ「安倍自民」にとって無視できぬ競合相手の出現となる可能性もある。だが、都知事としての行動が結果的に対中関係悪化の呼び水となっただけに、新党による国政進出に不安がつきまとうことも否定できない。
今後、改めて注目されるのは「第三極」結集の動向である。石原氏が強調した官僚支配打破などは確かに橋下氏らの主張とも通じる。
■社説:「石原新党」結成へ 「第三極」理念が問われる■毎日jp(毎日新聞)(2012年10月26日)
だが、同じ改憲の立場ながら憲法問題で「(現行憲法は)廃棄したらいい」との石原氏の主張に橋下氏は「憲法を勝手に破棄するというのは権力者が絶対に踏み越えてならない一線」とこれまで反論してきた。
また、次期衆院選の焦点となるエネルギー政策について維新の会は2030年代までに原発ゼロを目指す公約案を検討しているが、石原氏の立場は異なるはずだ。
政策の方向が共通する新勢力の連携はむしろ自然かもしれない。だが、理念にかかわる部分の食い違いを放置して反既成政党の協力を掲げても政界再編を主導するような勢力たり得るかは疑問である。
◆石原新党は何をめざすのか◆日本経済新聞
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若年者の高い失業率、災害に弱い都市構造、全国で最低の出生率など東京は様々な課題を抱えている。首都高速道路など社会資本の老朽化への対応も待ったなしだ。尖閣諸島の国有化の火付け役になり、2020年の夏季五輪の誘致活動もこれからが本番である。
こうした問題を残したまま、新党の結成に動くことには無責任との批判も招くかもしれないが、知事の座をなげうつわけで、党首となって新党を結成に動くこと自体は否定されるべきものでもない。問題は、新党が何をするためのものかということだ。どんな政治理念のもとに、どのような政策を実現しようとするのか、という点を明確にする必要がある。
焦点は、日本維新の会などとの連携による第三極の結集だ。選挙の争点になるとみられるのが(1)原発政策(2)消費税(3)環太平洋経済連携協定(TPP)――の3点だが、経済・財政、安全保障の基本的な方向での一致が必要だろう。石原氏の2度目の国政挑戦が変革につながるのかどうか。悲喜劇にならないためには理念による結合が求められる。
■石原新党は何をめざすのか■日本経済新聞(2012年10月26日)
◆石原新党 新憲法への流れ歓迎する 首相は年内解散を決断せよ◆産経新聞
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石原氏は占領下に制定された現行憲法を「解決しなければならない主要矛盾」と指摘し、新しい憲法を作るべきだと訴えた。官僚制の打破とともに、憲法改正を次期総選挙の最大の争点に据えて戦う意思を強調した。
現在の政治の閉塞(へいそく)状況を転換しようとする石原氏の行動を高く評価したい。氏が投じる一石は、新たな政治状況をダイナミックに創出する意味を持ち、憲法改正を求める保守勢力を結集する重要な核となり得るからだ。石原氏は現行憲法の矛盾点として、国民の意識に絶対平和という共同幻想を植え付け、権利と義務のバランスを失した「権利偏重」の規定が「日本人に我欲を培い、利己的にした」と指摘した。
今年5月3日の憲法記念日までに、自民党は自衛隊を「国防軍」とし、石原氏と行動をともにする「たちあがれ日本」は「自衛軍」とするなど、それぞれの憲法改正案を公表した。「みんなの党」も「自衛権の在り方」を明確化するとしている。辞任はこれらを途中で投げ出したと受け取られかねない。石原氏はこうした批判に応え、残された課題の引き継ぎもおろそかにしてはなるまい。
■【主張】石原新党 新憲法への流れ歓迎する 首相は年内解散を決断せよ■MSN産経ニュース(2012年10月26日)
石原氏が橋下氏との「連携、連帯」を強調しつつ新党結成を打ち出したことは、政界流動化の加速につながる可能性が高い。
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