18歳から政治・選挙を考える――無料で体験する永田町・霞が関(1) (2015/10/11 フリーライター 上村吉弘)
今年6月に成立した改正公職選挙法によって、来夏の参院選から選挙権年齢が18歳に引き下げられます。現在、高校生の政治活動は1969年の旧文部省の通知によって禁止されていますが、文部科学省では現在、一定の条件下で政治活動を容認する通知作成を検討しています。
若い有権者の中には、政治活動と聞いて頭に浮かぶのは、ニュースでよく目にするデモ行進かもしれません。原発再稼働の是非が政治的テーマになってから毎週金曜日になると、国会周辺には再稼働反対を訴えるシュプレヒコールが鳴り響きます。
最近は原発に変わって安保法制がメインテーマになり、9月には3万人以上と言われる人々が国会前に集結しました。テレビでご覧になった方もいるかと思いますが、国会周辺が普段からあのように賑やかなわけではありません。
永田町や霞が関といえば私たち一般市民には近寄りがたく、都民でさえも用事がなければあまり訪れないエリアです。しかし、無料で見学できる施設がたくさんある「社会科見学の宝庫」であることをご存じでしょうか。
政治とは何か。選挙とは何か。
政治活動や選挙運動をする前に、改めて国政の中枢である永田町・霞が関エリアを、平日に時間が取れる日がありましたら一度散策してみませんか。
午前中は永田町を散策
多くの方が小学生時代に一度は訪れた国会見学。何年も経って再訪すれば、きっと興味の質が変わっている自分に気づかれることでしょう。平日の午前9時から午後4時まで、参議院参観受付窓口(国会議事堂の裏側)で、5分前まで受付けています(本会議が開かれる日は時間帯が変則します)。
国会見学を終えたら、通りを挟んだ北側の国会図書館に移動するのが定番コース。館外貸し出しはできませんが、資料の閲覧や複写などのサービスを利用できます。新館ホールでは時折、展示会を開催しており、2015年10月5日(月)から11月2日(月)までは、「特集展示 1945―終戦の前後、何を読み、何を記したか」を開催する予定です(国会図書館「特集展示」)。
それが終わると、通りを東に3分歩いて憲政記念館へ行ってみましょう。頻繁に企画展や特別展が行われているほか、常設展には実寸大の本会議場の演壇や議席で議員になった気分を味わうことができます。憲政史シアターや立体ビジョンコーナーでは歴史体験を視覚的に学べるほか、明治維新のファンにはたまらない薩長同盟裏書(複製)や新政府綱領八策(複製)を間近に見ることができます。
憲政記念館は江戸時代、桜田門外の変で暗殺された大老・井伊直弼の屋敷があった場所です。1860年3月24日午前9時ごろ、ここから桜田門に至る道中を、井伊直弼を駕籠(かご)に乗せた彦根藩士総勢60人の大名行列が練り歩き、桜田門外に差し掛かったところで水戸・薩摩藩の浪士らに襲われ、殺害されました。
この事件で幕府の権威は失墜し7年後の1867年10月14日、徳川慶喜が大政奉還し、明治維新へと突き進んでいきます。約150年前、歴史の転換点となったこのエリアは右手に国会議事堂、左手に皇居、前方に警視庁が佇む日本の中心地。ご自身の足で歩いて約150年前に思いを馳せてみてはいかがでしょうか(衆議院HP―憲政記念館)。
桜田門まで来たら、農林水産省へランチに行きましょう。次回は霞が関を特集します。
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- <著者>
上村 吉弘(うえむら よしひろ) フリーライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。