[用語解説]特別区、行政区
区市町村と市区町村、呼び方の違いは都政の習熟度か (2016/7/26 政治山)
都知事選のテレビ討論で、「区市町村」と呼称する候補と「市区町村」と呼称する候補がいました。同じ意味で「市町村区」という呼び方もあります。どう使い分ければいいのでしょうか。
法律用語では「地方公共団体」、一般には「地方自治体」
憲法や地方自治法、地方公務員法では区と市、町、村を「地方公共団体」と名付けています。「地方公共団体」という名称は法律用語で、一般に使われる「地方自治体」とほぼ同義です。
地域住民によって組織された自治権をもつ法人格で、都道府県と市町村は「普通地方公共団体」、特別区や地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団などは「特別地方公共団体」と呼ばれます。
市町村と区は「基礎自治体」
都道府県が“包括的”地方公共団体であるのに対し、市町村は“基礎的”地方公共団体と定められています。私たちが市町村を基礎自治体と呼ぶのもここからきています。
また、地方自治法では特別区も基礎的地方公共団体と規定し、「市町村が処理するものとされている事務を処理する」としています。
つまり、普通地方公共団体と特別地方公共団体に分けた場合に、市町村と特別区は分かれ、基礎的地方公共団体でまとめた場合に市町村と特別区は同属となります。
都では公的に「区市町村」と呼称
特別区は全国に東京都の23区しかありません。東京都は23区のほかに26市3町1村からなる多摩地域と、2町7村からなる島しょ部で構成されていますが、人口最多の基礎自治体は市ではなく特別区(23区)なので、都では公的に区市町村と呼称しています。
東京都のトップになろうという候補が、基礎自治体を示すには「区市町村」と呼ぶのが最適といえます。こうした呼び方一つでも都政における習熟度の差が表れているかもしれません。また、23区内では「区市町村」、23区以外では「市区町村」と使い分けている候補者もいるようです。
ちなみに、都以外の地方公共団体では、用途に応じて市町村または市区町村、市町村区の呼称を使い分けているようです。
行政区は基礎自治体に非ず
大阪市24区のように政令指定都市に置かれる行政区は、市の事務処理の便宜のためにおかれており、市長の任命する区長や区収入役、その他職員、区選挙管理委員会が置かれますが、特別区のような基礎自治体の機能は持たず、区議会もありません。基礎自治体を意味する区市町村や市区町村の「区」は特別区を指すので、行政区は含まれません。
昨年5月17日に大阪市で行われた「大阪市特別区設置住民投票」では、大阪市を廃止し、現在の行政区24区を5つの特別区に分ける大阪都構想実現の是非を問うたものですが、僅差で否決されました。
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