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18歳から政治・選挙を考える ――無料で体験する永田町・霞が関(2) (2015/10/17 フリーライター 上村吉弘)

 国会見学から国会図書館、憲政記念館と、前回までは永田町見学の定番コースを紹介しました。国会議事堂正門を右手に通り過ぎ桜田門へ。目の前にはテレビでもよく登場する警視庁の建物がそびえ立っています。真正面の桜田通りからは霞が関、官庁街に入ります。

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午後からは霞が関コースへ

 右手には警視庁に続き総務省の建物が、左手には赤レンガ造りの法務省に続き東京地裁の建物が現れます。そこを通り過ぎると、左側ブロックに農林水産省が現れます。このブロックを左に曲がり、北側玄関から一般市民に開放されている省内の食堂「手しごとや 咲くら」へ。一番人気のイワシ鯨ステーキ膳をはじめ鯨料理がずらり。国産食品を推奨している農水省もイチ押しの味で、他省庁からも足繁く通う職員が多いとのこと。蕎麦屋「日豊庵」も一般開放されており、「咲くら」と人気を二分しています。

14時半の閉店間際まで来客が絶えない「咲くら」の食堂

14時半の閉店間際まで来客が絶えない「咲くら」の食堂

 おなかいっぱいになったら、真向いの日比谷公園で少し休憩しましょう。ベンチで寛ぐも良し、池や噴水を見ながら散策するも良し。都会の贅沢なオアシスです。

農水省の真正面にある日比谷公園

農水省の真正面にある日比谷公園

 再び皇居のお堀が見えたら、左手に曲がって先ほど通り過ぎた法務省へ。官庁の中でも赤レンガ造りでひときわ異彩を放つ法務省のブロックは、三権の一つ「司法」を司るだけあって、最高検や東京地検、東京地裁・高裁の建物が広大な敷地内に分散されています。

 法務省の正門から一般見学できます。2階の法務史料展示室が平日午前10時から午後6時まで開放されていて、歴史的資料も数多く展示されています。東京地検支部を舞台にしたドラマ「HERO」のパネルも置いてあります。2階テラスからは皇居のお堀を真正面にして眺望を楽しめます。

威容を誇る官庁街にあって、瀟洒な造りが際立つ法務省

威容を誇る官庁街にあって、瀟洒な造りが際立つ法務省

 将来、法律家を目指すのであれば、隣接する東京地裁で裁判の傍聴をしてみましょう。日々、多くの訴訟が行われており、傍聴券が交付される注目の裁判はサイトで確認することもできます(裁判所傍聴券交付情報)。

 まだ時間があるようでしたら、南にある財務省や経済産業省、文部科学省、特許庁、そこから北上して内閣府や首相官邸、議員会館の建物を見て回るのも面白いのではないでしょうか。厳重な警備体制を垣間見ることができますし、史実を解説した銘板も点在しています。

 ここに紹介したのは、予約なしでも利用できて、飲食代を除き全部無料。いま流行りの工場見学と同様、安い・楽しい・勉強になる、の一石三鳥ではないでしょうか。

 政治とは何か。選挙とは何か。

 最初の問いかけに対する人それぞれの答えが見つかるかもしれません。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言います。先人たちの足跡が忍ばれる永田町・霞が関を歩けば、教科書だけでは伝わらないこの国の在り方が自分なりに見えてくるかもしれません。歴史に「もし」は無意味だと言われますが、井伊直弼がもし暗殺されていなかったら、東京都は今でも江戸幕府だったのかもしれない。だとしたら、あのテーマパークの名称も、安倍政権という名称も違っていたのかも……など想像力は広がり、歴史の分かれ道にロマンを感じることでしょう。

 永田町・霞が関周辺は、他にも見どころ満載です。他省庁の見学ツアーや皇居、最高裁、靖国神社、日本銀行、造幣局、気象庁、自衛隊市ヶ谷台ツアーなどなど、東京でしか味わえない見どころを探索してみませんか。事前予約や料金が必要となる施設もありますので、各施設でご確認ください。

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上村吉弘<著者>
上村 吉弘(うえむら よしひろ)
 フリーライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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