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年末恒例、野党ガラガラポンの季節です (2015/11/16 フリーライター 上村吉弘)

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 永田町の年末恒例行事となった「野党ガラガラポン」の時期に入りました。毎年1月1日現在で「国会議員5人以上」か「国会議員1人以上いて国政選挙の得票率2%以上」という政党要件を満たしているかどうかで政党交付金が決まるため、要件をクリアするために中小野党は1人でも多く所属議員を増やそうとしてソワソワし始めます。

政党は議席と大金ゲットのダブルチャンス

 政党交付金は国民1人あたり250円を徴収し、計320億円が議員数割と得票数割に応じて各政党に配分されます。議員1人あたりで換算すると、4500万~5000万円が政党に交付されるので、半額を議員に渡したとしても政党は議席と大金をダブルで得られる垂涎の機会。要件クリアがぎりぎりの政党であれば、多少の無理難題を突き付けられても妥協を惜しみません。

議員は自身を高値で売り込むチャンス

 離党や入党を検討している議員にすれば、自身を年間最高値で売り込むチャンスです。「政界の渡り鳥」となってしまい、信用されなくなった議員でも党勢拡大のためにこの時期だけは「鴨ネギ」に見えるのか、三顧の礼で迎えられやすくなります。逆に離党したくても政党交付金がシバりとなって自由に離合集散できない原因ともなります。

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 民主党の前原誠司元外相や細野豪志政調会長から解党論が飛び出しました。支持率が長期低空飛行を続ける現状のまま来夏の参院選に進めば党の存亡に直面します。だからといって、共産党と選挙協力を話し合う執行部の態度は党の方向性をますますおかしな方向に導きかねないという危機感があります。いま一度、政治的立場の近い野党議員を集めて政権与党に対抗しうる対抗軸を作ろうとの思惑でしょう。岡田代表に提案しても却下されるのは目に見えていますが、だからといって有志を募り自主的に飛び出せば、これまでの交付金は分配されないので新党は早晩立ち行かなくなります。

離党なら文無しでも、分党すれば交付金折半

 民主党は直近で公開されている2013年分の政治資金収支報告書で174億円分の繰越金があります。2年前の報告書なので現状は多少の増減があると思いますが、この巨額の蓄財と組織力は選挙に際して無類の力を発揮するため、イデオロギーの異なる議員でも安易に離党できないという事情があります。因みに2015年分の民主党の政党交付金は76億円(自民党は170億円)が年4回に分けて交付されており、最後の12月分が交付されてから分党すれば、分党した双方が満額をムダなく分け合えるという算盤勘定も働きます。

1年前は水面下で激しく動いていました

 昨年末は総選挙で議席を4に減らした生活の党に、山本太郎議員が加わり、「生活の党と山本太郎となかまたち」に名称が変わりました。かつては自民党幹事長も務めた小沢一郎代表にすれば、政党要件と“キラキラネーム”変更の間で苦渋の選択だったかもしれませんが、実利を選んだ形です。

さらに今年に入ると、日本を元気にする会が、次世代の党を離党したアントニオ猪木参院議員と合流し1月8日、政党設立届を提出し政党要件(5人)をぎりぎりクリア。所属議員不在の状態だった太陽の党は次世代の党から園田博之衆院議員が1月9日に移籍を発表後、今年4月末で解散。5月1日に次世代の党と合併したことで、同党は約7000万円の交付金を上積みする権利を得て園田議員はその後、円満に自民党へと復党しました。

年越しにサラリと流れる報道に注意

 国民の厳しい視線を意識してか、年末に離合集散するよりも、年越しにこうした手続きや発表を行うケースが増えています。政党助成法では1月1日を基準日として算出するとしていますが、届け出自体は15日以内と明記されているので、1月16日までに届け出れば駆け込みセーフとなります。私たちも、お屠蘇気分に浮かれている間に新聞のベタ記事報道を見逃し、税金の使い道と議員の隠された思惑を見逃さないように注意しなければいけません。

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上村吉弘<著者>
上村 吉弘(うえむら よしひろ)
 フリーライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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