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維新の党分裂 東西で「昨日の友は今日の敵」状態 (2015/11/9 フリーライター 上村吉弘)

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 維新の党が分裂したことで、各支部も混乱の極みにあります。混乱が始まった8月末から「党費を返せ」などの抗議や、「自分は一体どっちの党員なんだ」という問い合わせの電話が相次いでいるからです。

11月22日ダブル選に備える大阪系と12月6日代表選に備える執行部

 現在、維新の党はどんな状況にあるのか、簡単におさらいします。

 松野頼久代表ら執行部によって除籍された大阪系の議員らが10月24日、中間派を含む国会議員20人と共に「臨時党大会」を開催し、党の解散を決議。解党までの暫定的な新代表に馬場伸幸衆院議員が選ばれ、「本家」争いをしている松野頼久代表と、同じ党に代表が2人いる状態となりました。

 それとは別に、新党「おおさか維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)が11月2日、政党設立届を大阪府選管に提出し受理されました。大阪府知事選に立候補する松井一郎氏が幹事長に、大阪市長選に立候補する吉村洋文氏は政調会長に就任し、11月22日投開票の大阪ダブル選に備えた布陣を整えました。馬場新代表ら4人の国会議員は「維新の党」解党手続きが終わり次第、合流する予定です。

 一方の執行部側は11月1日で松野代表の任期が切れましたが、党代表選を11月下旬に告示し12月6日に投開票する予定で準備を進めています。

11月22日投開票のダブル選に備える大阪系のホームページ(上)と、12月6日投開票の代表選に備える執行部のホームページ(下)

11月22日投開票のダブル選に備える大阪系のホームページ(上)
12月6日投開票の代表選に備える執行部のホームページ(下)

党員大募集がかえって仇に?

 分裂前、11月1日に行われるはずだった代表選では、8月末までに党費2000円を納めた人には国会議員と同じ「1人1票」を与えるとして党員を募集しました。松野代表ら執行部側が党員名簿の返還を求めた訴状では、党員数は9月4日時点で5万2696人。このうち、8月中に新規入党した党員は4万3561人で、大阪系国会議員らが集めた党員は2913人にとどまるとのこと。この数字が正確なのかどうか分かりませんが、短期間でこれだけの党員を集めた挙句に分裂されては、入党者が困惑するのも無理はありません。

 おおさか維新の会の幹事長に就任した松井一郎・大阪府知事はこの問題が浮上した9月、「ご不満の皆さんには、新党を作ったときには今回の負担分を引き継ぐ」として、維新から新党に移る人からは1年間党費を徴収しない考えを示しました。しかし、現段階で大阪府総支部には今後の党員募集についての指示は一切ないとのこと。党職員は「新党が党員を獲得するのかどうかも分からない」「私たちも報道で初めて知ることの方が多い」と困り果てた様子。

訴状が乱れ飛ぶ泥沼劇に党職員は当惑し、党員は困惑

 東京の執行部は大阪系に対し、党員名簿の返還を求める訴訟を大阪地裁に提起したほか、印鑑と通帳の返還を求め威力業務妨害容疑で東京地検に告訴状を提出。対する馬場新代表ら「新執行部」は松野代表らを有印私文書偽造、同行使罪で刑事告訴する方針で、訴状が乱れ飛ぶ泥沼劇に。

 東西を股にかけた各支部は「昨日の友は今日の敵」状態で当惑し、入党者は自分がどちらの党員になるのか困惑し……激化する上層部の対立と11月22日投開票の大阪ダブル選の行方を、ただただ見守るほかありません。

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上村吉弘<著者>
上村 吉弘(うえむら よしひろ)
 フリーライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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