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[用語解説]安保法制、安保法制が分かるポイント解説

安保法制、国際平和支援法のポイント (2015/9/18 早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

 安保法制について法案別の改正ポイントを解説するシリーズ、今回は新たに作られた「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律(国際平和支援法)」についてです。

国際平和支援法の概要

 国際平和支援法は新たに作られた新法であり、国際社会の平和および安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるものについて、当該活動を行う諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等を実施し、国際社会の平和及び安全の確保に資することを目的とします。

新法で何が変わるか

 従来は、海外での多国間の武力紛争に対して個別の特別措置法(イラク特別措置法など)を国会で成立させるプロセスを踏まえてきましたが、新法が制定されることを通じて、国会承認を踏まえた上で同法を根拠として自衛隊の派遣が可能となります。

新法のポイント

 新法のポイントは、特別措置法の恒久法化、国会承認の内容、派遣の要件、対応措置にあります。

特別措置法の恒久法化

 特別措置法の恒久法化とは、これまで多国間の武力紛争に対する協力は、イラク特別措置法やアフガン特別措置法などを制定することにより行ってきたものを、国際平和支援法における国会承認のプロセスに集約することを意味します。

国会承認の内容

 派遣に際しては国会承認を前提としていますが、7日以内の各院の議決の努力義務などのタイトな日程での判断を求められます。また、対応措置から2年後には再承認を必要とすることで、国会が派遣の是非を見直す機会を設けています。

派遣の要件

 派遣の要件は、国連決議として次のいずれかが必要となります。

  1. 支援対象となる外国が国際社会の平和および安全を脅かす事態に対処するための活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、または認める決議
  2. 当該事態が平和に対する脅威または平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国連加盟国の取り組みを求める決議

対応措置

 対応措置としては、諸外国の軍隊等に対する物品及び役務の提供(補給、輸送、修理及び整備、医療、通信、空港及び港湾業務、基地業務、宿泊、保管、施設の利用、訓練業務、建設など)の重要影響事態に想定されているものとほぼ同様の内容を行うことが可能です(弾薬の提供含む)。このほかに、捜索救助活動、船舶検査活動に関する条文が盛り込まれています。

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著者プロフィール
渡瀬裕哉氏渡瀬裕哉(わたせゆうや)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了、創業メンバーとして立ち上げたIT企業を一部上場企業にM&Aさせるなどの起業家としての側面を持つとともに、東国原英夫氏などの全国各地の自治体の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニングにも従事。日本版Tea Partyである東京茶会事務局長として、米国共和党保守派との幅広い人脈も有し、保守派最大級のイベントであるFREE PAC 2012に日本人で唯一の来賓として招へいされる。現在、日本版The Leadership Instituteである自由民権塾を立ち上げて活動中。
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