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[用語解説]安保法制、安保法制が分かるポイント解説

安保法制、PKO法の改正ポイント (2015/9/17 早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

 安保法制について法案別の改正ポイントを解説するシリーズ、今回は「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO法)」についてです。

国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の概要

 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO法)は、PKO活動、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動等を行うため、実施計画・実施要領の計画策定、PKO協力隊設置、物資協力のための措置を講じること等を目的としています。

改正法で何が変わるか?

 従来のPKO活動で実施できる活動内容が拡充するとともに、国連PKO活動以外にもPKO部隊を国連が直接的に統括している機関以外からの要請で派遣することが可能になります。

改正法のポイント

 改正法のポイントは、同法に基づく活動内容が拡充したこと、国連が直接統括する機関以外からの要請でも派遣が可能となったことが挙げられます。活動内容が拡充されることで、自衛隊の活動時における国際的な地位向上が図られるとともに、国連PKO以外の多様なケースへの対応を実施することが可能となります。

 活動内容の拡充とは、停戦監視、被災民救援等に加えて、安全確保業務・駆け付け警護、司令部業務、統治組織の設立・再建援助などが追加されました。さらに、自衛官(司令官等)の国際連合への派遣、請求権の放棄、大規模な災害に対処する米軍等に対する物品または役務の提供が可能となり、国際的な選挙監視活動の協力対象が拡大されます。今回の改正では、安全確保業務および駆けつけ警護の実施に当たって任務遂行のための武器使用が認められています。

 また、国際平和連携安全活動は、国連が直接する統括する機関以外からの要請による派遣を規定するものです。国連憲章第52条に規定されている「国際の平和及び安全の維持に関する事項で地域的行動に適当なものを処理するための地域的取極又は地域的機関」や、第7条で規定されている国際連合の主要機関が支持する国の要請で派遣を行います。

国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO法)のポイント

ポイント 概要(改正によりできることなど)
同法に基づく活動内容の拡充
  • 停戦監視、被災民救援等に加えて、安全確保業務・駆け付け警護、司令部業務、統治組織の設立・再建援助などが追加
  • 自衛官(司令官等)の国際連合への派遣、請求権の放棄、大規模な災害に対処する米軍等に対する物品または役務の提供、国際的な選挙監視活動の協力対象の拡大
  • 安全確保業務および駆けつけ警護の実施に当たって任務遂行のための武器使用が認められる
国連が直接統括する機関以外からの要請でも派遣可能
次の要請で派遣する
国連憲章第52条に規定されている「国際の平和及び安全の維持に関する事項で地域的行動に適当なものを処理するための地域的取極又は地域的機関」
同第7条で規定されている国際連合の主要機関が支持する国

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著者プロフィール
渡瀬裕哉氏渡瀬裕哉(わたせゆうや)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了、創業メンバーとして立ち上げたIT企業を一部上場企業にM&Aさせるなどの起業家としての側面を持つとともに、東国原英夫氏などの全国各地の自治体の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニングにも従事。日本版Tea Partyである東京茶会事務局長として、米国共和党保守派との幅広い人脈も有し、保守派最大級のイベントであるFREE PAC 2012に日本人で唯一の来賓として招へいされる。現在、日本版The Leadership Instituteである自由民権塾を立ち上げて活動中。
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