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[用語解説]安保法制

安保法制が分かるポイント解説 (2015/9/1 早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

 今国会の最大の焦点である安全保障関連法案(以下、安保法制)が7月16日に衆議院で可決され、続いて参議院で活発な審議が行われています。この安保法制とは、どのような内容なのでしょうか。まずは概要を解説します。

安保法制の概要

 安保法制は、10法案を改正する「平和安全法制整備法」と1本の恒久法案の新設「国際平和支援法」によって成り立っています。

  1. 自衛隊法 解説→
  2. 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法)解説→
  3. 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(「周辺事態安全確保法」を「重要影響事態安全確保法」に変更) 解説→
  4. 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(船舶検査活動法)解説→
  5. 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(武力攻撃事態対処法)解説→
  6. 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律(米軍等行動関連措置法)解説→
  7. 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律(特定公共施設利用法)解説→
  8. 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律(海上輸送規制法)解説→
  9. 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律(捕虜取扱い法) 解説→
  10. 国家安全保障会議設置法 解説→
  1. 国際平和支援法 解説→

大きな枠組みは3つ、該当法案とポイント

 安保法制を理解するためには、各法律の改正と新設の構造上の関係から、安保法制の骨組みを理解することが重要です。大きな枠組みは3つで、それぞれに該当する法案とポイントをまとめました。

安保法制の枠組み

大枠 該当する法案 ポイント
1.我が国の脅威となる可能性があるものへの対処 重要影響事態安全確保法 周辺事態安全確保法から「我が国周辺」という地理的概念を撤廃
武力攻撃事態対処法 いわゆる集団的自衛権の行使を可能とした存立危機事態を新設
2.新たな国際協力を行うための内容を盛り込む 国際平和協力法(PKO法) 国連以外の平和安全活動への参加や武器使用権限等を見直す
3.自衛隊の海外派兵に対する恒久法の制定 国際平和支援法 イラク特措法などの特別措置法などで個別に対応してきたものを恒久法に切り替える

 これらの重要な骨組みの変更に伴って、自衛隊法を中心として、船舶活動検査法、米軍等行動関連措置法、特定公共施設利用法、海上輸送規制法、捕虜取扱い法、国家安全保障会議設置法の変更を行うこととされています。

 国会審議を経て具体的にどのような法整備が成されるのかということについて、国民の理解が深まることが望まれます。政治山では今後、安保法制について法案別の改正ポイントをシリーズでお届けします。

安保法制が分かるポイント解説(自衛隊法) →

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安保法制、武力攻撃事態法の改正ポイント
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著者プロフィール
渡瀬裕哉氏渡瀬裕哉(わたせゆうや)
早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員
1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了、創業メンバーとして立ち上げたIT企業を一部上場企業にM&Aさせるなどの起業家としての側面を持つとともに、東国原英夫氏などの全国各地の自治体の首長・議会選挙の政策立案・政治活動のプランニングにも従事。日本版Tea Partyである東京茶会事務局長として、米国共和党保守派との幅広い人脈も有し、保守派最大級のイベントであるFREE PAC 2012に日本人で唯一の来賓として招へいされる。現在、日本版The Leadership Instituteである自由民権塾を立ち上げて活動中。
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