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通常国会1月4日開会では年始の挨拶が……国会議員はた迷惑!? (2015/11/19 フリーライター 上村吉弘)

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 臨時国会の召集見送りを決めた安倍首相は、来年1月4日に通常国会を早期召集する方針を明らかにしました。ここ数年は1月下旬の開催が続いていた通常国会ですが、そもそも1月開会が常態化したのは平成に入ってから。1990(平成2)年以前の通常国会は41回中40回が12月開会。1回の例外は1952年で、8月に開会されています。これは当時、「会期中に任期満了する場合、前倒しして召集する」という規定があったためです。

国会議事堂

1990年までは12月開会が義務だった

 1月開会となったのは、国会法で「12月中」と定められていた召集日が、1991年に「1月中」と改められたため。これにより、予算案の提出期限も「12月中」から「1月中」に改正されました。1月中に改正された理由は、国家公務員が年末年始の休日(12月29日から1月3日まで)に入るため、国会も連動して自然休会状態となり会期日数が無為に経過することが問題視されたことによります。

 1月下旬の開会であれば年始の地元挨拶をじっくりできるため、国会議員にとっても好都合ですが、来年の開会が4日となればそうもいきません。7月改選の参議院議員にとっては地元回りをしたくて仕方がないところでしょうが、本来の政治活動を全うしたうえで、堂々と選挙準備に入ってほしいものです。

憲法52条「通常国会は年1回召集」の規定、過去に4回も違憲!?

 「国会の常会は、毎年一回これを召集する」と憲法52条で規定されています。ところが、過去に開かれなかった年が1969年、1972年、1983年、1991年の4回あります。今のご時世なら「憲法違反だ!」と大騒ぎになるところですが、ここでも憲法解釈を巡り2つの説が対立しています。「毎年一回」というのを(1)暦年で考えるか、(2)通常国会の召集間隔が1年と考えるか、です。1991年のケースは国会法改正で「12月中」から「1月中」に繰り延べされた間隙の年だったためですが、他の3回は通常国会召集の詔書公布後に衆院が解散。総選挙後の特別国会召集により実現しませんでした。国会法2条の2では、「特別会は、常会と併せてこれを召集することができる」と特例規定を定めていますが、適用されませんでした。

 野党が今回、憲法第53条後段の「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなくてはならない」に違反しているとして反発する臨時国会の召集規定も、今回を含め3例の守られなかったケースがあるなど、日程絡みの「違憲」を粗探しすれば、疑わしいケースはぽろぽろと出てきます。1991年のケースについて、衆参の法制局は「法改正による特例的な1回限りのことであり、(中略)例外的事態として憲法第52条に抵触しない」と答弁しています。

 安倍首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席するため11月18日からフィリピンに出発する外交日程は以前から決まっていました。日本側の意向でそれを簡単にキャンセルするようでは国際社会での信用が失われます。憲法規定の理想と日程調整の現実という隔たりは、容易には埋めがたいのかもしれません。少なくとも、三が日明けてすぐに通常国会を開会する方針の安倍首相に、「国会軽視だ」と叩かれるような考え方がないことは読み取れます。

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上村吉弘<著者>
上村 吉弘(うえむら よしひろ)
 フリーライター
1972年生まれ。読売新聞記者、国会議員公設秘書の経験を活かし、永田町の実態を伝えるとともに、政治への関心を高める活動を行っている。
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