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6割が憲法改正に関心―18歳意識調査 (2019/5/2 政治山)

 日本財団(東京都港区、会長笹川陽平)は4月上旬、「憲法」をテーマに13回目の18歳意識調査を実施しました。この結果、憲法が「身近である」とする回答は約4割にとどまっているものの、7割強が平和主義・国民主権・基本的人権の尊重の憲法三原則を内容も含め理解していると答えています。しかし、実際に三原則が機能している、とする回答は、平和主義が過半数を超えている半面、国民主権と基本的人権の尊重は5割を下回っていました。

 近年、活発化している憲法改正論議に関しては8割近くが知っており、6割は「関心がある」とする一方、現実に国民投票が行われた場合には7割近くが「投票に行きたい」と答えています。

 また、日本国憲法が今の社会でよりよく機能するため必要なことを自由回答で聞いたところ、「このままで問題ない」といった声の一方で「もっと時代によりよく対応できるように、積極的に改善していくべき」などの意見がありました。このほか「国民の間で意見を交わす機会を多くする」「学校教育で憲法について学ぶ機会を増やす」といった声もありました。

■18歳意識調査について:今回から、回答者を従前の800人から1000人に増やし、引き続き原則、月1回実施することにしました。民間の調査会社と協力して17~19歳男女それぞれの数がほぼ同数、計1,000人となるよう全国から回答を求め、分析しています。

日本国憲法は身近である 39.4%

日本国憲法は身近である

日本国憲法の三原則 認知と機能

日本国憲法の三原則 認知と機能

【国民主権が機能している/いない理由】
機能している理由は、「選挙などにより国民の意志が反映されるから」や「しっかりと選挙が行われているし、独裁的な政治ではないから」など、選挙制度や選挙権があること、およびそれによって国民の意志が反映されていることなどがあげられている。
反対に、機能していないと考える理由については、「国民の声が直接反映できるようなシステムになってないから」など、国民の意志が反映されにくい事とともに、「選挙権が与えられているにも関わらず投票率が非常に低く、政治への責任を果たしていない」など、国民の側の問題を指摘する意見も見られる。
【基本的人権の尊重が機能している/いない理由】
機能している理由としては、「人権を意識した活動や教育を推進する動きがあるから」や「人権問題について最近議論が進んできて、尊重しようとする傾向になってきており、機能してる」、「弱者の保護など、発展途上ではあるが支援制度があるから」などの意見が見られる。
機能していないと考える理由では、女性差別や「性的マイノリティにあまりやさしくない」などLGBTに関する懸念があげられている。また、労働環境の悪さや、差別・不平等、いじめ・虐待、各種のハラスメント等についても言及。
【平和主義が機能している/いない理由】
機能している理由は、平和主義が今の社会で機能している理由としては、「少なくとも戦後から今まで他国との戦争は行われていないから」など、第二次大戦以降、日本で戦争が起きていないという事があげられている。また、「日本は憲法で規定された範囲内で自衛隊の活動を行なっていると思うから」など、自衛隊の活動も憲法に基づいたものになっているとする意見がある。
反対に、平和主義が機能していないと考える理由については、「憲法9条の改正をすすめているから」「自衛隊は戦力であり、平和維持どころか戦争の原因になりかねないと思うから」「中国や韓国など近隣諸国との関係が悪化していると思うから」などの意見が出されている

憲法が今の社会でより良く機能するために必要なこと

  • 日本国憲法が今の社会でよりよく機能するためには、「国民の間で意見を交わす機会を多くして民意を反映させる仕組みを作り維持していくこと」や「学校教育で憲法について学ぶ機会を増やす。憲法の役割を知ることができるから」等のように、国民が憲法と広く、深く接することができるようにすることの重要性があげられている。
  • また、憲法の今後のあり方については「もっと時代によりよく対応出来るように、積極的に改善していくべき」や「現時点でより機能するようになってきていると感じるためこのままで問題ない」などの意見があった。

憲法改正に関心がある 59.8%、改正の議論を知っている 78.7%

憲法が今の社会でより良く機能するために必要なこと

【憲法改正に関心がある/ない理由】
憲法改正に関心がある理由としては、「日本国憲法の三原則をしっかりと守りつつ、新たな時代に適した憲法をつくっていかなければならないから」など、時代に合った憲法への改正を望む声や、「憲法改正によって集団的自衛権が認められると、自衛隊の出動が考えられるため戦争勃発の危険が高まると思うから」など、自衛隊の位置づけに関する意見があげられている。
関心がない理由では「日常生活に影響があると感じないから」や「憲法を身近に感じる機会がほとんど無いから」など、ある意味「自身ごと」と感じられずに興味・関心が持てないことがうかがえる。また、「難しい内容だから取っ付き難い、わかりやすく説明してほしい」のように、憲法改正が十分に理解できてないことがあげられている。

国民投票があれば行く 68.9%

憲法改正に関心がある

  • 国民投票に行きたい理由としては、「自分の意思を国に伝えたいから」や「自分の意見を少しでも反映してもらいたいし、国のあり方は国民が決めるべきだと思うから」など、投票で意思表示をしたいとの思いが見られる。また、若者の政治離れを危惧する声があがる一方で、「これからの日本を作るということに自分自身も尽力することには興味があるし、何よりこれから社会を担っていくのは自分たち世代であるから」といった、若者としての自覚と責任がうかがえるものもあった。
  • 国民投票に行きたくない理由としては、「投票所に行くのが面倒」との意見が散見されている。また、「自分の一票でどうこうならないから」や「世の中は変わらないと思うから」など投票で意思表示することに懐疑的な姿勢が垣間見える。

 

■調査報告書について
詳細については、プロジェクトページに掲載している報告書をご覧ください。
18歳意識調査

■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳が政治や社会、仕事、家族、友人、恋愛などをどのように考え、意識しているか、幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いで、多くの社会課題に取り組む日本財団の事業にも調査結果を反映させたいと考えています。

日本財団公式webサイト:プロジェクトページ

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