大都市の大学定員抑制は賛否割れる、賛成29.4%/反対41.0%―18歳意識調査 (2019/2/14 日本財団)
日本財団(東京都港区、会長笹川陽平)は12月下旬、「大学入試」をテーマに8回目の「18歳意識調査」を実施しました。
その結果、東京を中心にした大都市への学生集中を規制し地方大学の活性化を目指す動き(地方大学振興法など)を問うと賛成3割、反対4割と意見が割れています。また2020年度から始まる大学入学共通テスト・英語科目への民間試験導入に対しては半数弱が賛成しているものの反対も4人に1人に上っています。前者は主として実効性を中心に、後者は公平・公正の観点から賛否両論が戦わされており、ともに、なお検討すべき点が多いことを数字で裏付ける形となっています。
このほか、大学の現状について、「グローバル社会で活躍する人材育成の場になっている」「地域社会に貢献している」と前向きに評価する意見は、いずれも3割台に留まっています。
大都市の私立大学定員抑制 賛成29.4%、反対41.0%
- 「反対」派は「入りたい大学に入れない」「進学したい学生の気持ちを考えていない」という意見が多い。他、地方創生のために、大都市私立大学の定員を減らすという考えではなく、「地方大学の価値を高めるべき」などの意見があがる。
- 「賛成」派は「大都市の私立大学に進学できなかった人は地方に来る可能性があるため、若い人が増えれば地方の活性化につながる」「特に東京一極集中が止められるのならいい事だと思う」という意見や、少子化の中で大学の定員が減ることで「学生のレベルが上がる」「日本の学力向上につながる」という意見も。
地方大学は地域社会に貢献していると思う 37.4%
- 「地域社会に貢献できている」と回答した人の理由は、「大学があるだけで若者があつまり、経済効果も生まれる」「ボランティア活動を行っている」「地元の資源や特産を生かした研究をしている」というような内容が多い。
- 「貢献できていない」と回答した人は、「地域に貢献しているという話を聞いたことがない」「大学生活をしていて自覚がない」など、実感として感じていない様子。
- 「その他」の理由としては、「よくわからない」という回答の他、「できている大学(学部)とそうでない大学(学部)もあるから」などの回答もみられた。
大学がグローバル社会で活躍する人材育成の場になっていると思う 38.0%
- 「グローバル社会で活躍できる人材の育成の場になっている」と回答した人の理由としては、「グローバルに重きを置く大学が増えている」「英語に力を入れている大学が増えているため」「海外留学制度が整った大学も増えている」など。
- 反対に、そのように思わない理由としては、「英語の教育方法が根本的に間違っている」など日本の英語教育に対しての意見が多い。他、「就職に有利だから進学する人がほとんど」「学生はモチベーションが低い」など。
英語の民間試験導入 賛成46.0%、反対26.1%
- 賛成の理由としては、「英語を積極的に学ぼうとする人が増え、グローバル社会に最終的に貢献することになると思うから」など、これからのグローバル化社会に向けて英語力が必要という意見が多い。他、「就職にも役立つ」という意見も。
- 反対意見としては、金銭面で負担が増えることにより、「受けられる家庭と受けられない家庭が存在する以上、このようなことは格差拡大防止のためにも導入すべきでない」など、公平性に欠けるという意見が目立つ。
国語数学の記述式導入 賛成43.4%、反対31.6%
- 賛成の意見としては、記述式の方はマークシート方式より「本当に理解しているかがわかる」「学力向上につながる」「実力が問われる」など。
- 反対やその他の理由としては、「採点基準があいまいになる」「採点が困難」や、「導入前と違う指標で見るから不公平」「混乱が生じる」などの意見があがる。
大学・短大への進学を希望する人 64.9%
■調査報告書について
詳細については、報告書をご覧ください。
・第8回18歳意識調査「テーマ:大学入試」要約版
・第8回18歳意識調査「テーマ:大学入試」調査報告書
・第8回18歳意識調査「テーマ:大学入試」記述回答 ※全てプロジェクトページにて掲載
■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳が政治や社会、仕事、家族、友人、恋愛などをどのように考え、意識しているか、幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いで、多くの社会課題に取り組む日本財団の事業にも調査結果を反映させたいと考えています。
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