[用語解説]一票の格差、ゲリマンダー
選挙区の区割り変更とゲリマンダー (2015/7/15 政治山)
今国会では一票の格差を是正するために、来年の参議院議員選挙へ向けて、有権者の少ない隣接する県を統合して新たな選挙区をつくる「合区」が検討されています。選挙区の区割りを行う際に、特定の政党や候補者に有利になるよう恣意的に境界線を引くことを「ゲリマンダー」または「ゲリマンダリング」といいます。
ことばの由来
1812年に米マサチューセッツ州のエルブリッジ・ゲリー知事が、自身が所属する政党に有利なように選挙区割りを恣意的に行ったところ、選挙区の形が伝説上のトカゲのような生物「サラマンダー」に似ていたため、ゲリー氏の名前とサラマンダーとを合わせた「ゲリマンダー」という造語が生まれました。
恣意的な区割りによる選挙への影響は?
1選挙区から1人しか当選しない小選挙区制の場合、A党に投票する傾向の強い地区を分割し、B党に投票する傾向のある地区と同じ選挙区にすることで、A党の候補が当選しづらくなります。
日本のゲリマンダー
衆院選は1993年まで、1つの選挙区から複数の議員を選出する中選挙区制で行われ、また参院選の選挙区も都道府県を単位としているため、一票の格差が拡大した場合は各選挙区の定数を変更することによる対応が可能で、実質的なゲリマンダーはほとんど発生しませんでした。
数少ない例として、1956年に自由民主党の鳩山一郎内閣が、小選挙区制の導入を目指して提出した公職選挙法改正案がそれに当たります。この改正案では、小選挙区制にもかかわらず野党が強い地域に2人区が存在したり飛び地があったりと、不自然な選挙区の区割りが存在しました。最終的には廃案となりましたが、このときの小選挙区制の導入は、憲法改正のため3分の2の議席確保を狙って、鳩山首相が自党に有利な区割りをしようとしたと言われています。そのため、鳩山氏から名前をとって「ハトマンダー」と呼ばれています。
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