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今後ますます雇用されずに生きるチカラが必要になる理由 (2017/9/26 瓦版

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変人・安田の境目コラム

なぜ雇用を増やすことは善だったのか

職安とか、職業訓練とか、就職課とか。雇用を目的としたサポート機関は、たくさんあります。でも、雇われないことを目的とした機関など、どこにも存在しないのです。雇用を増やすことは善である。企業が発展している証であるし、安定した仕事によって国民の収入も増える。保険料の半分は会社負担となるし、税金の徴収も確実なものとなる。

まち

確かに、国家から見れば、雇用を増やすことは善なのかもしれません。だからこそ、良き会社員になることをゴールとし、決められたことを、決められた通りに、きちんとこなせる人材を育ててきたのです。

良き会社に入るために、良き大学を目指す。受験で高得点を取ることを最善とする。受験勉強することに疑問を抱かない。競争し、勝ち抜くことを、喜びとする。良き会社に入れば、人生は安泰。

単純な論理ですが、これで経済は発展してきたのです。人材の質は上がり、会社の業績は良くなり、会社員は生涯賃金を保障された。消費者として、どんどんお金も使った。最新の家電に、マイカー、マイホーム…。企業からしても、それは合理的だったのです。優秀な(使いやすい)社員を採用し、終身雇用することによって忠誠心を持たせる。定期昇給を約束することによって、安心してお金を使う消費者に育てていく。

成功法則が変質したことで雇用が非合理になっただけ

企業にとって、雇用することはとても合理的なことだったのです。でもそれが、合理的ではなくなった。ただ、それだけのことなのです。企業が悪いわけではないのです。

出来るだけ給料を払わず、たくさん働かせる。そんな会社は、ブラック企業と言われます。でもそれは、昔からある企業の本質なのです。たくさん給料を払ったのは、それ以上に儲かったから。払わなくなったのは、儲からなくなったから。

もはや人を大量に雇うことは、合理的な正解ではないのです。採用に金はかかるし、育成にも手間がかかる。社会保険料は高いし、福利厚生も求められる。解雇したら社会問題になるし、すぐにブラックと言われる。機械の方がいい、ロボット歓迎、AI万歳。そうなることは、当然の帰結なのです。

問題なのは、企業ではありません。問題なのは、私たちの価値観です。

事ここに及んでも、まだ雇用を増やそうとする国家。雇用を増やせないことを、責め立てる国民。正規雇用を増やせ、終身雇用せよ、最低賃金を上げろ。要求すればするほど、企業は雇わなくなります。手に入れるべきなのは雇用ではなく、雇用されずに生きていく力なのです。

<プロフィール>安田佳生(ヤスダヨシオ)
安田佳生(ヤスダヨシオ)

1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブを設立。著書多数。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ)は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、個人で活動を続けながら、2015年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。最新刊「自分を磨く働き方」では、氏が辿り着いた一つの答えとして従来の働き方と180度違う働き方を提唱している。同氏と差しで向き合い、こだわりの店で食事をし、こだわりのバーで酒を飲み、こだわりに経営について相談に乗ってもらえる「こだわりの相談ツアー」は随時募集中(http://brand-farmers.jp/blog/kodawari_tour/)。

提供:瓦版

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