フードテックでフードロス解消、「新しい食」への理解進むか―18歳意識調査 (2020/12/15 政治山)
日本財団は「新しい食」をテーマに31回目の18歳意識調査を10月中旬に実施しました。今回の調査結果について、日本財団の坂本織江氏にお話を伺いました。
「日本の食料自給率の低さに加えて、世界的に懸念される食料安全保障の問題を背景に「新しい食」をテーマに18歳意識調査を実施した。国内の食料自給率については、6割近くが現状を問題と認識。食分野で期待が高まるフードテックは認知こそ低いいものの、4割近くは期待を示している。期待の中身は「フードロスの解決に役立つ」「より美味しい食事をつくる技術開発」などが並んだ。一方で、新たなタンパク源として注目を集める「代替肉」や「昆虫食」を未来の食材になると思う人は32.6%に留まるなど、新しい食材への理解は今一つだ。
世界的な人口増加による食糧問題だけではなく、コロナ禍においては20近くの国と地域が輸出制限を行うなど物流の問題が明らかになった。いつ食料不足が起きるかわからないなか、自給率増はもちろん、新しい食材の創出は喫緊の課題だ。国内でも大手の小売業などはコオロギを使った煎餅の販売や、特殊冷凍機で風味を損なわない冷凍フルーツでフードロスを削減するなどフードテックが活躍の兆しを見せている。しかし、アメリカのAgFunderの調査によると「フードテック」は世界的には年間2兆円を超える分野でありながら、2019年度の日本の投資額は97億円に留まる。
今回の調査で18歳が食料不足に備えて力を入れるべきと考えたのは「第一次産業の立て直し」23.6%が最多で、次いで「消費者意識を変える」13.6%だった。日本の食の立て直しはもちろんのこと、一人ひとりが「新しい食」に理解を深めなければ広がりは期待できない。私自身も一消費者として、新たな食材を食卓に取り入れてみたい」
■調査報告書について
詳細については、「18歳意識調査」のプロジェクトページに掲載している報告書をご覧ください。
■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を昨年10月からスタートさせました。次代を担う18歳の意識を幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いです。
- 関連記事
- 食品ロス、過半数が対策は不十分―18歳意識調査
- 新聞を読む人は3人に1人、2年で大幅減少―18歳意識調査
- 「都市or地方将来暮らしたい場所は?」新型コロナの影響も―18歳意識調査
- 「家族・夫婦 昔と今」1万人女性意識調査
- 炎上リスク伴うSNS利用、4人に3人が法整備必要―18歳意識調査