「都市or地方将来暮らしたい場所は?」新型コロナの影響も―18歳意識調査 (2020/10/7 政治山)
日本財団は「地方創生」をテーマに29回目の18歳意識調査を8月上旬に実施しました。将来暮らしたい場所は「都市」が56.5%と2019年1月に実施した第10回調査の61.3%を下回るものの、依然、「地方」希望(43.5%)に10ポイント以上の差をつけています。
地方希望者の理由のトップ「自然環境が豊か」が51.5%と昨年より18ポイントも増えているのが目立っています。暮らしたい場所を答えるに当たり、「新型コロナウイルスの感染拡大を意識した」とする回答は43.8%でした。
新型コロナ禍を受け大都市への人口集中が是正されるか聞いたところ、「是正されない」が34.8%、「是正される」が26.5%と10%弱の差が出ています。是正に向け必要な対策は「企業のリモートワーク推奨」35.7%、「若年層の雇用の確保」31.0%、「地方企業の所得向上」24.0%など雇用に関する項目が並んでいます。
若者の地方移住については40.2%が「進まない」と回答、その理由として「都市部の方が生活の利便性が高い」(66.9%)、「娯楽の選択肢が多い」(56.5%)が続いています。消滅可能都市に関しては28%が「仕方ない」としているものの43.8%は「問題だ」と答えています。
本調査の結果を受けて日本財団の坂本織江氏は以下のように述べました。
「今回の調査では、1年半ぶりに「地方創生」をテーマにした。コロナ禍の影響がどう数字に表れるか注目した。結果、将来住みたい場所は今回も半数以上が「都市」だったが、地方も4.7ポイント微増した。「地方」希望の理由では、昨年3位だった「自然環境が豊か」が1位になるなど、地方の魅力を見直す兆しが伺える。
一方で、加速する大都市への人口集中については「是正される」26.5%とどまった。若者の地方移住については「進まない」が40.2%で、「進む」22.0%を大きく上回っている。都市を希望する理由は、「利便性が高い」「娯楽の選択肢が多い」が5割を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大は住まいを見直すきっかけにはなったが、コロナの脅威だけで地方移住が加速される意識になってはいない。
若者の地方志向が高まりを見せていると言われているが、雇用環境を整えなければ暮らしてはいけない。現に東京都最低賃金(地域別最低賃金)は1013円と全国平均に対して100円近い差がある。18歳の若者たちは単に都市に魅了されているだけではなく、自らの生活を冷静に見つめていることを裏付けた結果と考える」
■18歳意識調査について
2015年の改正公職選挙法で選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられ、翌年の参院選から新たに「18~19歳」が投票に参加しました。民法の改正に伴い2022年4月には成人年齢も18歳に変わります。そこで日本財団では、18歳の若者が何を考え、何を思っているのか、継続して調べる意識調査を2018年10月からスタートさせました。次代を担う18歳の意識を幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙いです(報告書は以下のサイトにてご覧いただけます)。
「18歳意識調査」
<問い合わせ先>
〒107-8404東京都港区赤坂1-2-2日本財団ビル
日本財団 広報チーム
E-mail:pr@ps.nippon-foundation.or.jp
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