市民がスマホアプリでカーブミラー7000基のサビ点検―千葉市 (2016/7/15 島根大学研究・学術情報機構戦略的研究推進センター特任助教 本田正美)
千葉市では2014年から、地域課題の解決プラットフォームとして「ちばレポ」が運用されています。「ちばレポ」は、スマホアプリをダウンロードし、レポーター登録を行うことで、地域の課題に関するレポートを行うことができるというものです。「ちばレポ」のウェヴサイトでは、レポートへの市役所などの対応状況も公開されています。
レポートには地理情報が付されるので、ウェブサイトの地図にレポートがプロットされ、アイコンをクリックすると、その場所でなされたレポート内容と対応状況、そして写真などを確認することが可能です。
この「ちばレポ」の取り組みは、オープンガバメント・オープンデータの取り組みの代表例として研究の面からも着目されており、私も先日、情報知識学会の大会で「オープンデータ化された『ちばレポ』の登録者情報を基にした行政アプリケーションの浸透過程の推定」と題する研究発表を行いました。
その「ちばレポ」を活用して、7月1日から「テーマレポート『カーブミラーのさびを点検しよう!』」が実施されています。千葉市が管理しているカーブミラーの支柱の根元の「さび」の有無を「ちばレポ」を使ってレポートをしてもらうというものです。
通常は、好きな時にレポーターが自ら必要と思うレポートをするというのが基本になっていますが、このテーマレポートは、設定された課題につき期間を設けてレポートを募るという仕組みとなっています。
千葉市内には約7000基のカーブミラーが設置されているそうです。もちろん、市役所として、その管理のためにパトロールを行っているはずですが、市民の力を借りて、点検をしてしまおうというのが、今回の試みの肝になります。
現段階でも、カーブミラーについてのレポートの状況がウェブサイトで公開されています。この記事を書いている途中に確認したところ、カーブミラーについては407件のレポートが掲載されていました。約7000件のすべてをカバーすることは難しいかもしれませんが、レポートした市民にとっては、自らのまちのカーブミラーの管理に思いを巡らせる良い機会になっているのだろうと想像します。
「ちばレポ」の運用事務局は市民自治推進部広報広聴課に置かれており、「ちばレポ」は広報広聴制度の一環として位置付けられるものですが、自治体の広聴というと、どうしても市民からの苦情の受付というイメージが付きまといます。そういう状況にあって、「ちばレポ」のテーマレポートの取り組みは、広聴を通じて市民もまちづくりに参画していくという重要な契機になるのではないかと思います。
カーブミラーについてのテーマレポートは7月31日まで実施しています。千葉市民以外でも「ちばレポ」の利用は可能ですので、近くの市区町村にお住いの方なども参画してみてはどうでしょうか。
- 著者プロフィール
島根大学研究・学術情報機構戦略的研究推進センター特任助教 本田正美
1978年生まれ。東京大学法学部卒。2013年、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。現在、島根大学研究機構戦略的研究推進センター特任助教。専門は、社会情報学・行政学。特に電子政府に関する研究を中心に、情報社会における行政・市民・議会の関係のあり方について研究を行っている。共著本に『市民が主役の自治リノベーション』(ぎょうせい刊)がある。
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