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[用語解説]出直し選挙

任期は2カ月?金沢市長選から見る「出直し選挙」とは (2014/10/10 政治山)

関連ワード : 出直し選挙 市ノ澤充 用語解説 

 10月5日に実施された石川県・金沢市長選挙では、8月に辞職して「出直し選挙」に臨んだ、山野之義前市長が再選しました。山野市長の任期は辞職前の残任期間である12月9日までとなります。そのため、わずか2カ月ほどで再び市長選が行われるのですが、「出直し選挙」とはどのようなものなのでしょうか。

辞職した首長の「信任投票」の性質を持つ出直し選挙

 出直し選挙は、都道府県知事や市区町村長がその任期中に辞職し、その辞職によって実施される選挙に、辞職した当人が再度立候補する選挙のことを指します。

 通常の選挙であれば当選から4年(参議院議員は6年)が任期となりますが、出直し選挙は任期中に辞職した首長に対する「信任投票」の性質を持つため、辞職した前首長が立候補して再選した場合の任期は、辞職前の任期の残りの期間のみとなります。

 なお、辞職した前首長以外の候補者が当選した際には、その当選日から起算して4年が任期となります。

出直し選挙における任期の違い

首長の資質を問う出直し選挙と、政策の是非を問う出直し選挙

 今回の金沢市長選挙で出直し選挙の原因となったのは、市内に計画された競輪の場外車券場をめぐって特定の事業者に便宜を図ろうとした問題に対する引責辞任でした。

 一方、今年2月に行われた橋下徹大阪市長による出直し選挙は、大阪都構想の推進の是非を問うために実施されましたが、投票率23.59%(前回の市長選は58.96%)、投票総数の9.04%が白票(同じく0.39%)という結果に終わり、有権者の理解を得られなかったと言えそうです。

選挙費用節減や投票率向上と出直し選挙の見直し

出直し選挙を定めた公職選挙法第259の2は、
 1.首長が自らの選挙に都合の良い時に辞職することを防ぐ
 2.法定の任期を全うすること
を目的として任期を制限しています。

 選挙の実施には相応の費用がかかり、よほど有権者の関心が高くないと投票率は伸びません。そこで、神奈川県鎌倉市や埼玉県所沢市では、上記の目的に反しない範囲で市議選などと同時に選挙を実施して経費節減と投票率向上を図る場合は任期の制限を受けないという、「特例の不適用」を求める提案を総務省に提出しましたが、認められていません。

 民意を反映するための選挙制度のあり方が見直されている今、法の目的と趣旨に沿って、柔軟な対応が求められるかもしれません。

<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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