18歳選挙権の実現に寄せて
各地の活動をつなげたい、若者の若者による若者のための社会参画・投票啓発 (2015/6/16 学生団体CreateFuture山梨代表 齋藤浩平)
17日の参議院本会議で改正公職選挙法が可決・成立すると、選挙権が得られる年齢が18歳以上に引き下げられ、来年の参議院選挙から施行されます。「18歳選挙権」の実現は、女性参政権を認めて以来の大きな変革ですが、これによりすぐに若者の低投票率が改善されるわけではありません。そこで、これまで若者の投票率向上や若年層への有権者教育に取り組んできた皆さんに、「18歳選挙権」の意義や課題などについて寄稿いただきました。今回は、若者と社会をつなぐ活動を続け、統一地方選の山梨県議選と甲府市議選では学生が主体となりキャンパス内期日前投票所の開設を実現した「Create Future山梨」の代表 齋藤浩平さんです。
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「18歳選挙権」は、当事者である18歳、19歳の過半数が望んだものでもないし、私が18歳の時に選挙権が欲しかったかと聞かれたら、簡単に答えることができない。つまり、「18歳選挙権」は、実際の18歳、19歳にとっては非常に難しい問題だと思っている。そこで私たち学生団体CreateFuture山梨では、急遽この問題をみんなで話す「場」を作ることにした。
イベントでは、「18歳選挙権」に関する基礎的な情報の共有や、3つの教育的視点(学校教育、家庭教育、地域教育)からグループディスカッションなどを行う予定である。こういった企画は2016年の参議院選挙までに定期的に開催し、高校生の参加も呼びかけていきたい。
一方で、私たちCreateFuture山梨は2014年10月、山梨大学期日前投票所の設置を提案する際、次のような「構想案」を提示していた。
この構想案は、2016年の参議院選挙で10-20代投票率50%を目標とし、第1の矢として大学内期日前投票所、第2の矢として住民票移行キャンペーン、第3の矢として18歳投票権、そして構想全体を通す第0の矢として社会参画、投票啓発を定義したものである。
実際に大学内期日前投票所を設置してみてわかったのだが、学内にいる学生の多くは授業の多い1、2年生であった。つまり、18歳選挙権が実現すれば、大学内期日前投票所の利用者数は大幅に増えることが予想される。
また、18歳投票権を機に、若者の若者による若者のための啓発はより必要となってくるだろう。それは「4本の矢構想」でも最も強調した「第0の矢」の部分である。私は先日、中央大学多摩キャンパスと白鴎大学東キャンパスに出かけ、大学内期日前投票所の設置に向けて活動する学生のサポートを行った。
また、2015年6月の青森県知事選の際、青森中央学院大学に設置された期日前投票所では、山梨大学で使用した啓発ポスターのデザインを使っていただいた。これまでバラバラだった各地域での啓発活動が、これを機にもっとつながっていってほしいし、私もその一翼を担えたらと思っている。
法案が成立してしまえば、大事なのは是非ではなく、「何を考え、行動すべきか」という視点であろう。若者が積極的に社会に関心を持ち、主体的に社会と関わり、将来に責任を持てる社会を目指すためにできることは何か、しっかりと考えていきたい。
最後に私の根底にある想いを少しだけ書こうと思う。
私は、少子高齢化が世界で最も進んでいる日本において「『あまりに』投票率が『低すぎる』のではないか」という問題提起を、もっと多くの人が共有すべきではないかと考えている。どんなに優秀な官僚や政治家がいても、多くの国民が社会に無関心であれば、混迷極めるこの21世紀を何事もなく平穏に過ごすことは無理であると思う。
最低限の社会参画としての投票行動をもっと積極的に推進する雰囲気が必要であるし、被選挙権年齢の引き下げといった議論もどんどん進んでいってほしいと思っている。その想いの実現に向けて、私が今できることとして山梨での取り組みに励んでいきたいと思う。
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