電話作戦への報酬支払いは買収?―升田氏運動員逮捕  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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[用語解説]買収

電話作戦への報酬支払いは買収?―升田氏運動員逮捕 (2015/1/7 政治山)

 昨年12月の衆院選で維新の党の升田世喜男氏を支援した運動員が6日、公職選挙法違反の疑いで逮捕されました。逮捕容疑は買収で、升田氏への投票を依頼する電話かけを行った運動員に対して報酬を支払ったとのこと。電話作戦に参加した人に報酬を支払うのが、なぜ買収にあたるのでしょうか。

 ひと口に運動員といっても、その役割に応じて支払うことのできる対価が定められており、それを逸脱すると買収となります。運動員の役割と対価は以下の通りです。

対価を支払うことのできる広義の運動員(選挙を手伝った人)

運動員 役割 対価
選挙運動員 候補者の当選を目的として、街頭活動や演説会、訪問活動(戸別訪問除く)などの選挙運動に従事する者 実費弁償のみ(公共交通費・宿泊費・弁当代・茶菓代)
選挙労務者 自動車の運転やポスター貼りなど単純な労務に従事する者 1日10,000円(+5割の超過勤務手当)以内の報酬と実費弁償(公共交通費・宿泊費)
選挙事務員 選挙運動に関する事務に従事する者 1日10,000円以内の報酬
車上運動員 うぐいす嬢など選挙運動用の自動車または船舶の上で選挙運動を行う者 1日15,000円以内の報酬
手話通訳者 出陣式や演説会などで手話通訳に従事する者 1日15,000円以内の報酬

 電話作戦は候補者の当選を目的とした選挙運動なので、選挙運動員以外の運動員は行うことができません(無償の場合は除く)。今回のようなケースでは、実費弁償しか認められていない選挙運動員に報酬を支払った場合と、運動員として登録されていない人に報酬を支払った場合が考えられますが、いずれにしても買収の要件を満たすこととなります。

 なお、選挙運動員が買収容疑で逮捕されたとしても、議員は即座に失職するわけではありません。議員が失職する場合は、本人または連座制が適用される選挙運動の幹部、親族、秘書に対する買収等の罪が確定したときとなります。

<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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