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[用語解説]買収、連座制

小渕優子経産相の政治資金、買収なら連座制適用も (2014/10/16 政治山)

 10月16日発売の週刊新潮(10月23日号)が報じた、小渕優子経済産業大臣の政治資金に関する問題。選挙区内の有権者も参加した観劇ツアーが「買収」と判断されれば、大臣はもちろん議員としての去就も問われることとなります。今回報じられた観劇ツアーは、公職選挙法が禁じる買収にあたるのでしょうか。

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無償または不当に安い価格で招待するのも「買収」

 問題となっているのは、2010年と2011年の収支報告に記載されている、東京・明治座への観劇ツアー。まずは指摘されている2つの政治団体「小渕優子後援会」と「自由民主党群馬県ふるさと振興支部」の収支を見てみましょう。

年月 支出 収入 差額
2010年10月 16,888,317円 3,728,000円 13,160,317円
2011年10月 16,959,030円 3,693,000円 13,266,030円

 つまり、参加費として370万円を集め、観劇代として1,700万円を支払うという不自然な会計処理を繰り返したこととなります。この差額を合計したおよそ2,600万円を政治団体が負担したのが事実であれば、「買収」の用語解説で紹介した通り「有権者を本来は費用がかかる演劇等に無償または不当に安い価格で招待」したとして、関係者は公職選挙法第221条に定める「買収及び利益誘導罪」に問われます。

収支報告書の「誤り」または「虚偽記載」で済ませていいのか

 収支報告書の記載内容に「誤り」があった場合はそれを修正することができ、これまでにも多くの政治団体がメディアや市民オンブズマンの指摘を受けて修正しています。また、「誤り」には罰則がなく、意図的な「虚偽」には公選法ならびに政治資金規正法により罰則が定められています。

 買収と虚偽記載には、いずれも公民権停止など厳しい処分が科せられますが、大きく異なるのは連座制の適用です。かつて政治家の不祥事と言えば「秘書がやりました」で済まされることが多く、本質的な問題解決の妨げとなっていたため、秘書や親族が「勝手にやった」ことでも政治家自身を罪に問うことができるようにしたのが連座制です。

 この連座制、買収には適用されますが収支報告書の虚偽記載には適用されません。今回の騒動でもこの一線を超えるかどうかが焦点となりそうです。

小渕優子後援会の平成22年分政治資金収支報告書

<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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