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[用語解説]買収

石関議員の元秘書逮捕―なぜ看板の設置が買収になるのか (2015/1/6 政治山)

関連ワード : 用語解説 石関貴史 衆院選2014 買収 

 維新の党の石関貴史衆院議員が6日、元秘書と運動員の逮捕を受けて党選対委員長の職を辞任しました。逮捕容疑は昨年の衆院選における買収で、元秘書が選挙運動員に対して演説会告知用の看板の設置を依頼し、報酬として数十万円支払ったとのことですが、対価を支払って看板を設置してもらうことが、なぜ「買収」にあたるのでしょうか。

 買収には、有権者に金品等を渡す場合と、(広義の)運動員に報酬を渡す場合の2種類がありますが、今回は後者にあたります。そして後者、いわゆる運動員買収には、以下のようなパターンがあります。

  • (1)選挙事務員や車上運動員(うぐいす嬢など)、手話通訳士に対して法律に定められた額を超えた報酬を支払う。
  • (2)選挙運動員に対して交通費や宿泊費、弁当代など実費弁償以外の報酬を支払う。
  • (3)選挙労務者に対して法律に定められた額を超えた報酬または実費弁償以外の報酬を支払う。
  • (4)報酬を支給することのできる運動員以外の人(選挙運動を手伝った人)に金品を渡したり食事を提供したりする。

 看板設置の対価として選挙運動員に数十万円支払った今回のケースは(2)のケースに該当するため、買収の嫌疑をかけられています。

 なお、選挙運動員が買収容疑で逮捕されたとしても、議員は即座に失職するわけではありません。議員が失職する場合は、本人または連座制が適用される選挙運動の幹部、親族、秘書に対する買収等の罪が確定したときとなります。

※対価を支払うことのできる広義の運動員(選挙を手伝った人)
選挙運動員…実費弁償のみ(公共交通費・宿泊費・弁当代・茶菓代)
選挙労務者…1日10,000円(+5割の超過勤務手当)の報酬と実費弁償(公共交通費・宿泊費)
選挙事務員…1日10,000円
車上運動員…1日15,000円
手話通訳者…1日15,000円
<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。政治と有権者の距離を縮め、新しいコミュニケーションのあり方を提案するための講演活動も実施している。
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石関貴史氏プロフィールページ
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