[用語解説]寄附
議員によって異なる会費? 寄附と会費の見分け方 (2014/8/12 政治山)
東京都議会のある会派が8月7日、新年会の会費として支出した政務活動費1万円を都に返還しました。この会合には異なる会派から2人の都議が参加しており、1人は1万円、もう1人は5千円を会費として支払ったとのことですが、なぜこのようなことが起きたのでしょうか。
選挙区内では、あらゆる寄附がNG
公職選挙法では、首長や議員およびこれらに立候補しようとする人は、選挙区内の人や団体への寄附が禁止されています。これは有権者に対する買収を禁止するための規定です。
寄附には、祝い金や寸志など金銭的なものから、お中元やお歳暮、差し入れなどの物品供与まで含まれますが、結婚祝いや葬式の香典などについて本人が出席する場合は、禁止規定を免れることもあります。人付き合いの上で欠かすことのできない冠婚葬祭のほぼすべてに規制が存在しており、議員として暮らしていくには細心の注意が必要で、もちろん後援会が支出する場合もNGです。
定められた会費のみ支払うことが可能
ただし、単純な寄附の禁止だけでは、首長や議員は選挙区内で行われる会合やイベントで参加に金銭が必要なものには参加できなくなってしまいます。そこで、各会合で定められている会費については支出が認められています。
ところが、現実には会費を明確に定めていない会合も多々あります。地域や業界、団体の会合は必ずしも議員を招くために開催されるわけではないので、当然生じ得ることです。この際、議員側から会合の責任者に会費を確認する必要があります。
会費や寄附は受け取る方にも注意が必要
上記の事例では、2人の都議が政務活動費として計上したために不適切な支出が明らかとなりましたが、この新年会には他に2人の都議が参加していたそうです。政務活動費に計上せず、収支報告書にも記載しない会費の支出をチェックすることは困難です。
不当な寄附は買収の温床となり、買収は贈収賄と言われるように贈った側だけでなく受け取った側も罪に問われることがあります。会費を定めずに「お気持ちで」とか「議員さん次第」などとあいまいにすることは、お互いに不幸な結果をもたらすこととなります。
首長や議員は新年会や忘年会、祭りなど多くの地域行事に参加しており、これらの会費に政務活動費を充てるべきか否かは別の問題として存在しますが、まずは寄附禁止の規定について有権者側にも理解が広がることで、問題を未然に防ぐことが望まれます。
- 禁じられている寄附行為
- お祭り、地域行事への包み金や差し入れ
- 町内会の集会や催しへの寸志や差し入れ
- 入学・卒業祝いや開店祝い、落成式の花輪
- お中元やお歳暮
- 病気見舞いや葬式の供花、花輪
- 代理が出席する場合の結婚祝いや葬式の香典
- 顔だけを出してすぐに引き上げる場合に会費を出すこと
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