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オープンデータを活用した地方の超高齢化への取り組み (2014/5/21 有限責任事業組合 政策支援 細川甚孝氏)

 東京・港区の慶應義塾大学三田キャンパスで5月17日、行政経営フォーラム第56回例会が開催されました。行政経営フォーラム(PMFJ:Public Management Forum of Japan)は1997年4月に、行政機関、NPO、特殊法人、学校、病院などの各種非営利団体、司法・立法機関の経営改革を推進、支援する社会団体(非営利任意団体)として発足した団体で、発足から17年が経つ行政経営・公共経営領域の黎明期から活動してる団体の1つです。この行政経営フォーラムの第56回例会の模様について、会員である細川甚孝氏のレポートをお届けします。

パネルディスカッションの様子(左から)松野豊さん(流山市議会議員)、庄司昌彦さん(国際大学GLOCOM 主任研究員)、阿部由紀江さん(新潟市役所)

パネルディスカッションの様子 (左から)松野豊さん(流山市議会議員)、庄司昌彦さん(国際大学GLOCOM 主任研究員)、関口昌幸さん(横浜市)

◇        ◇        ◇

 今回の例会では「ガバメント2.0と超高齢化社会戦略」というテーマで5つのセッションが行われ、講演やディスカッションが行われた。各セッションの内容は以下の通り。

セッション1 「オープンデータ・オープンガバメントの現状と課題」

講演「オープンデータ・オープンガバメント概論」
庄司昌彦さん(国際大学GLOCOM 主任研究員)

パネルディスカッション「オープンデータの現在と未来」
パネリスト:庄司昌彦さん(講演者)、松野豊さん(流山市議会議員)、関口昌幸さん(横浜市)
モデレーター:阿部由紀江さん(新潟市)

 近ごろ、しばしば見聞きする「オープンデータ・オープンガバメント」。第1部の講演では、オープンデータとは何か? その目的は? そして世の中はどう変わるのか? といった基本的なテーマについてお伝えし、第2部では各都市の取り組み紹介を交えたパネルディスカッションを行い、地域で展開されている最新の状況と直面している課題について共有した。

 全体のまとめとして、「オープンデータとは、行政の持っているデータの開示というだけではなく、市民・地域・企業とのコミュニケーションツールの一つである」と指摘された。

セッション2 「福島例会のこれまでと今後について」
中野達夫さん(鎌倉市)

 東日本大震災による原発被害から逃れ、会津若松市に避難している大熊町の皆さんとは、これまで2回の交流を行ってきた。その活動を報告しながら、福島の復興・被災者支援について、PMFJとしての支援のあり方について議論を行った。

セッション3 「ネット選挙解禁の実態とこれからの課題について」
市ノ澤充さん(株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニーシニアマネジャー)

 2013年7月の参議院選挙からインターネットを利用した選挙運動が解禁されたが、実際には多岐にわたる選挙運動の一部を例外的に認めただけのもので、公職選挙法の目的と本質的な課題=金をかけない選挙とべからず法からの脱却の実現には至っていない。昨今のネット選挙解禁の実態とこれからの課題について、いくつかの事例を交えて紹介し、インターネットを利活用した運動は、争点が明確な場合には有効性が高いという指摘がなされた。

セッション4 「横浜市青葉区での地域包括、医療介護連携について」
大石佳能子さん(株式会社メディヴァ代表取締役)

 「地域包括ケアシステム」構築のためには、医療と介護の連携が必須。横浜市と東急電鉄が、横浜市青葉区美しが丘を中心に実施している「次世代郊外まちづくり」のなかで、「地域包括ケアシステム」構築の事務局として、(1)医療と介護の「顔の見える連携会議」、(2)IT連携システム、(3)病院バックベッドの確保、(4)各種勉強会等、を立ち上げ、運営した経験を紹介した。その中で民間医療コンサルが医療と介護の仲介役をして、重要な役割を果たしていることを指摘した。

セッション5 「超高齢化社会に向けた課題-新潟市の分析事例紹介」
池末浩規さん(株式会社パブリックパートナーズ代表取締役)

 超高齢化の到来による諸課題が議論される中でも、個々の地域の実態に即した分析はあまり多く行われていない。平成25年度、新潟市都市政策研究所では、データと介護・医療関係者へのインタビューを通じて、超高齢化の到来に向けて自治体が直面する課題を分析した。もはや介護「対応」のみでは立ち行かない状況で、介護「戦略」の必要性と、その中心課題、基礎自治体の役割について概観した。その中で、新潟市にとどまらず、多くの自治体にとって、介護・痴ほうへの対応策は早急に対応すべきデーマであり、そのために、行政組織の介護・福祉などの縦割り型の組織運営の脱却の必要性を指摘した。

細川甚孝氏細川甚孝(ほそかわ・しげのり):有限責任事業組合 政策支援 代表組合員
2009年、早稲田大学大学院公共経営研究科修了(公共経営学修士)。2000年前後から自治体などの総合計画、行政改革などのコンサルティングに携わる。土木設計、大学機関、広告代理店などでそれぞれの持ち味を活かしたプランニング・コンサルティングを経験。2010年ごろから、活動範囲も政治・政策までに広げ、現在全国規模で活動中。
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