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成長型成長都市研究会

シティプロモーションに関するトークサロン「第4回まちづくりの環」開催 (2014/5/9 成熟型成長都市研究会 細川甚孝氏)

成熟したまちを対象としたまちづくり、政策などを議論するトークサロン「第4回 まちづくりの環」が6日、東京都府中市のルミエール府中で開催された。今回は、「シティプロモーションとまちづくり」がテーマ。講師は、トークサロンを主催する「成熟型成長都市研究会」主宰者の東京都府中市議の西宮幸一氏と、シティプロモーションの第一人者である東海大教授の河井孝仁氏が勤めた。観光施策とシティプロモーションとの違い、シティプロモーションを進める上で検討すべきポイントなどについての議論を行った。ここでは、成熟型成長都市研究会事務局の細川甚孝氏のレポートをお届けする。

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シティプロモーションと観光施策との違い

 河井教授によると、シティプロモーションとは、「地域を持続的に発展させるために、地域の魅力を発掘し、地域内外に効果的に訴求し、それにより、人材、物財、資金、情報などの資源を地域内部で活用可能としていくこと」であるとし、決して、地域特産品のブランド力を高めることだけではないという指摘があった。

 大事なのは、これらの活動が、「市民の連携によって、地域の多様なステークホルダーが、持続可能性をもって活動し続けられること」であるとまとめた。

シティプロモーションの必要性について

東海大教授の河井孝仁氏(右)

東海大教授の河井孝仁氏(右)

 教授によると、シティプロモーションは現在、行政にとっての少子高齢化による持続性へのリスク、地域自立・自律の一方での財政難、外部資源獲得のための地域間競争、平成の大合併による関心の分散などの動きにより必要性は高まっているということであった。

 住民・市民にとっては、住居地からの離脱困難状況を基礎として、危機での生命確保を可能とする地域機能確保、高齢者の生活維持を可能とする地域機能確保、子どもの育ちを的確に実現する地域機能確保、地域への参画に伴う心理所得獲得、地域に関わることへのシビックプライドの昂進という点で、シティプロモーションの必要性があると指摘した。

成功するシティプロモーションに必要なアイデア

 シティプロモーションの成功には、戦略的発想が必要であると指摘し、「編集」「正統化」「研磨」「発散」「共有」のサイクルの重要性をアピールした。具体的には、地域経営のステークホルダー(行政・議員・市民など)の行動変容を促すために、地域内外に声を傾聴しつつ、(1)魅力を認知させ、(2)魅力を「自分事」化させ、(3)魅力を探索させ、 (4)着地する的確な場所を整備し、(5)魅力を活用させ、(6)各時点で情報を発信させることが重要だとした。

府中市のシティプロモーション施策の動向

東京都府中市議の西宮幸一氏(左)

東京都府中市議の西宮幸一氏(左)

 西宮議員によると、府中市は平成23年度に観光振興プランを制定し、観光施策を進めている。また、西宮議員の議会質問によると、市のスタンスとしては、既に歴史的な地域資源を中心にして情報発信やPRに努めていることから、その分野でのシティ・プロモーションは進められているとのこと。中心市街地のブランド力を高めていくことで府中市のアピールを今後も進めていく、そして、シティ・プロモーションの考え方にも沿っているという。その上で、観光振興プランでは市民・事業者・観光協会・行政の役割分担の上で、シティプロモーション施策を進めているということであった。

 また、西宮議員によると、府中市は市政60周年を迎える記念事業の1つとして、市民協働都市宣言が示されており、その意味で、まちづくりに関する市民の協働という視点は重要視されるとした。

府中市の今後のシティプロモーション施策について

 河井教授によると、府中市の観光振興プランにおいて、市民は評価、資源の掘り起こしなどに参画することになっているという点では、比較的評価すべきではないかとのこと。その上で、重要なのは、実際の事業のやり方であるとした。

 そこで、シティプロモーションの戦略的発想が見られる例として、茨城県大洗市のテレビアニメ「ガールズ&パンツァー」との連動、静岡県浜松市のゆるキャラ「出世大名家康くん」の活用策、佐賀県武雄市のフェイスブックの活用策、兵庫県尼崎市における総合計画など示した。

 それらアクションの意味について解説があり、その上で重要なのは、全体の戦略的発想の中で、どこに位置づけられているかが自覚的になっているか、最終的な受け手に届くように、メディアが設計されているかどうかということであった。