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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3)◆政治が揺さ振る為替相場◆  株式会社フィスコ 2017年2月12日

関連ワード : 金融経済 

欧米政治が為替相場を揺らす

昨日の円相場は一時、対ドルで111円台、対ユーロで120円割れと思った以上の円高圧力を受けた。円ショート・ポジションが縮小(円買い戻し)局面にあると見られ、政治的思惑が増幅する格好になったと思われる。

週明け、先週末に米JPモルガンが顧客向けに作成したリポートが流れた。曰く「ルペン仏大統領誕生ならユーロ0.98ドルまで下落、仏独10年債利回り差は2%ポイントに拡大する」。同じく週末にルペン国民戦線党首の主任経済顧問が政策を公表した。曰く「金融の主権を取り戻す」。ユーロ通貨同盟を離脱し、「新フランス・フラン」を発行、当初はユーロと等価、その後はEU通貨バスケットに連動、変動幅20%に制限する構想(ユーロはかつてのECUのような各国通貨バスケットに切り替えるよう要求)。

4月23日に第1回投票が行われる仏大統領選は、極右政党・仏のトランプと言われるルペン氏、中道・右派のフィヨン元首相、中道・無党派のマクロン前経済相の3人に絞られてきているが、フィヨン氏が妻の不正給与疑惑で揺れ、立候補辞退説まで流れた。代わって世論調査1位に躍り出たマクロン氏には不倫疑惑が浮上、泥仕合の様相。泡沫候補とされていた左派系候補のアモン前教育相(国民に適用する統一的基準賃金導入などを提唱)などに隙入る余地が出ている。追い討ちを掛けるように、ポーランドのワレサ元大統領の「ルペンが勝ち、メルケルが負ければEU崩壊。このような事態に我々は備える必要がある」との発言が伝わった。加えて、イタリアの動揺、ギリシャ問題も収まっていない。7日の欧州市場で、仏独利回り差は一時78bpに拡大した後73bp。独株0.34%上昇に対し、仏株0.49%安、伊株0.17%安。ギリシャ株は+0.42%だが、2年物国債利回りは一時9.92%(IMFが第3次支援に乗り出すかが焦点)。

米国では教育長官の議会承認を巡り、共和党内から造反が出て、上院議長を兼ねるペンス副大統領が加わって、辛うじて承認された。これでようやく5人目。閣僚承認が大幅に遅れており、行政機能のマヒ状態が続く。米GSは「市場センチメントの好転から、リスクバランスは幾分マイナスに傾く状態」。また、1月27日にモルガン・スタンレーが「米FRBはバランスシート縮小に向け、MBS(住宅ローン証券)の再投資を18年4月に打ち切る」との予想を出した。当面の利上げよりも金融引き締め効果が高いと見られる再投資打ち切りは年内行われないとの見方で、FOMCでの次回利上げ言及なしと合わせ、引き締め警戒が緩んだ格好となっている(米金利軟化圧力)。トランプ大統領の口先介入だけでなく、背景となっている要因に注意したい。なお、14日にイエレンFRB議長が金融政策についての議会証言を行う予定。日米首脳会談と合わせ、揺らぎの沈静化タイミングを注視したい。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/8号)

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