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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1)◆凪の局面で高値を窺う◆  株式会社フィスコ 2017年2月12日

関連ワード : アメリカ 金融経済 

批判の嵐も枠組み壊れず

相変わらず、メディアには海外追随のトランプ批判、アベノミクス困った論、さらに日銀批判まで溢れているが、週末のNYダウは再び2万ドル台を回復し、基調は崩れていないことを示した。予想上回る1月雇用統計、金融規制改革見直しの大統領令などが好感された。日本株も凪の局面で高値を窺う(ドル建て日経平均の170ドル台乗せ、ドル円114円辺りへの揺り戻しで、目先的なフシ目になっている19500円への挑戦)ことになると想定される。今週はオプションSQ巡る攻防、週末の日米首脳会談への期待強弱などが軸となろう。

雇用統計は非農業部門雇用者数増が22.7万人と市場予想17.5万人を上回ったが、失業率が4.8%(+0.1%)が上昇し、賃金増加率が前月比0.1%に止まった(12月0.4%→0.2%に下方修正)ことで、「 利上げペースが緩やかになる」との見方も伝えられた。注目されるエネルギー部門(比較的給与水準が高い。過去2年間で16.5万人超の人員削減を行った)の雇用者数は掘削関連100人増の17万7400人、サポート・サービス関連(12月)600人増の19万5200人と増加に転じている。

ドル円は112円台の攻防が続いている。米金利水準はやや軟化したが、底割れしなかった。IMM通貨先物建玉で、ドルの主要6通貨に対する買い越し額は4週連続減少し昨年10月末以来の低水準(ロイター試算184.7億ドル。前週200.4億ドル)となった。金利動向を考えると、ドルが売り越しに転ずることは考え難く、目先のドル高調整は8-9合目に来た印象だ。

週末のマティス国防長官来日は概ね好感されたようだ。長官は言及しなかったようだが、日米共同開発の新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の発射試験成功が発表された。北朝鮮のミサイル発射で試されるのではないかと固唾を飲んで見守られていたが、北朝鮮は発射せず、ハワイ東方沖での海上試験になった様だ。日本の防衛予算倍増(GDP比2%)が話題だが、予算が膨らむかどうかはその活動範囲に関わる。相手の出方次第で変わると見るのが妥当だ。長官が主張したかったのは日米連携が新たなステージに入っていることではなかろうか。抜本的に北朝鮮の核・ミサイル脅威(敷いては中国の脅威にもつながる)を抑制する可能性がある。また、異例の自衛隊向けF35戦闘機の値下げが実現(1機157億円→146億円、関連経費423億円→309億円。これにトランプ削減が加わる)している。1月末、共同通信は米国防総省が日本の軍備採用で、民間技術16分野に強い関心を示していると伝えた(説明会には日本企業約60社が参加)。

日米首脳会談に向け、50兆円(4500億ドル)規模の「日米成長雇用イニシアチブ」が報道された。インフラ投資、AIなど先端技術共同研究、サイバー攻撃防止などが柱とされるが、米国の体制整備(財務長官承認など)が遅れており、日本側からの積極提案の格好を取るものと見られる。単に、トランプ大統領の対日批判を逸らすためのものではないと考えられる。

入国制限での混乱、規制緩和の中身不透明、経済摩擦の混沌など、懸念材料が多いのも事実だが、オバマ時代と異なる日米軸(おそらく英国も加わる)の枠組み再構築を評価する流れが続くものと想定される。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/6号)

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