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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2)◆春節明け中国への警戒感◆  株式会社フィスコ 2017年2月12日

関連ワード : 中国 金融経済 

身固める中国、米中対峙を注視

連日、第3四半期決算発表が花盛りだが、業績押し上げ要因として円安効果とともに中国ビジネスが挙げられていた。その牽引役として、1日付日経新聞が一面トップで報じたのが「半導体関連」。電子部品とともに、中国のスマホ需要回復を支えに増益率を高めた、との内容。ただ、取り上げられた信越化学(信越半導体)は1月26日高値に昨日安値は6%安。東京エレクトロンは同じく8.25%安と、やや厳しい調整だ。追い討ちを掛けたのが神戸鋼。2日に建機の中国事業における営業損失の計上(滞留債権の回収困難。貸倒損失276億円、債務保証損失34億円の計上)と中国事業再構築を発表した。一見、順調に見えても中国リスクが潜在することを示した。株価は2日高値から昨日安値は10.9%安。

本日、中国は外貨準備を発表予定。1月末残高が約6年ぶりに3兆ドルを割り込むか注目されている(12月末は前月比410億ドル減の3兆105億ドル。ピークは14年6月の3兆9932億ドル)。人民元安との相乗効果で資金の海外流出圧力が高まり、人民元を支えるために減少を続けてきていると見られている。危惧されている1ドル=7人民元乗せは、この間何とか防いでいるが、輸出の前年割れ状態、外資による投資手控えなど、外貨獲得力の低下は、中国経済衰退の象徴と受け止められている。6日、外国機関投資家による中国の国債保有額が19億元減少し、4218億元になったと発表された。昨年10月のIMFのSDR採用に合わせ、市場開放策を実施し増勢を続けてきたが、全体の2%に届かないまま減少に転じた。

関心を集めるトランプ政権との対立は、今のところ正面切って起こっておらず(日独を含めた為替操作批判、一つの中国問題、東・南シナ海問題などでの攻防)「米中は表面上は対立しているが、裏では手を握っている」との密約説も出ているほどだ。ただ、この間の「音無し」は春節休みも影響していたと見られる。資金流出規制に加え、情報統制、外国メディアの取材規制強化、金融犯罪厳罰化などを断続的に打ち出している。

1月23日、中国電器大手小米科技(シャオミ)の副社長が突然辞任を発表した。グーグルの幹部から13年に入社していたが、「異常な環境での生活は人生に大きな犠牲をもたらし、健康にも影響を与えた」とし米シリコンバレーに戻るとフェイスブックに書き込んだ。また、米調査会社が在中米国商工会議所と行った調査では、532社の対象のうち約1/4が、既に中国現地生産を閉鎖または近いうちに閉鎖する計画とした。税率アップ、人件費上昇、中国企業優先での摩擦拡大などが理由に挙げられている。昨年大きな問題となった鉄鋼問題などは強権的に修正しているが、根本的な構図は変わっておらず、欧米とのダンピング問題での小競り合いも出ている。外資導入で高成長してきた路線の修正出口は見えていない。

トランプ攻防はこれから本格化すると見られるが、なし崩し的な停滞感にも注意が要る。個別各社の中国戦略を注視する必要があろう。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/2/7号)

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