「夢の奨学金」3期生に奨学生認定証―「情熱を持てば困難は乗り越えられる」 (2018/4/17 日本財団)
笹川陽平・日本財団会長が授与
「情熱を持てば困難は乗り越えられる」
様々な事情から児童養護施設などで育った社会的養護出身者の進学・就職を支援している日本財団は、「夢の奨学金」3期生17人を選抜し3月30日、東京・赤坂の日本財団ビルで奨学生認定証の授与式を行った。奨学生はそれに先立ち、笹川陽平・日本財団会長と懇談し、「皆さんの経験は人生にプラスになる。目標を設定して常にあふれる情熱を持って立ち向かえば、どんな困難も乗り越えられる」と激励された。
夢の奨学金は、学費だけでなく、生活費、住居費を貸付ではなく、給付する奨学金制度。お金の支援に加え、ソーシャルワーカーが奨学生に伴走し、卒業や就職までの間、奨学生の相談に随時対応する。初年度の2016年度はパイロットプロジェクトとして中京地区で実施、11人を奨学生に選んだ。17年度から対象者を全国に広げ、2期生には15人を選抜した。
認定式には奨学生がリクルート・スーツ姿で集まり、笹川会長と対面した。まず、順番に自己紹介をして、将来の仕事や今後の抱負を語った。中には、15歳まで児童養護施設で育てられ、一時非行に走ったが、里親に2年間面倒を見てもらい、大学に入学できたと語る男性もいた。また、同様に児童養護施設を経験した女性は将来、助産婦になり、家庭で子どもを育てる環境づくりに貢献したいと語っていた。
これを受け、笹川会長は「皆さんはきちっとした夢を持ち、将来を見つめており、すばらしい。そうした人生設計がないと、いい年になって働く場所を探さないといけなくなる。皆さんの経験は将来、プラスになってもマイナスになることはない」と強調した。続けて、会長は「皆さんには可能性がある。人生は一本道ではないが、目標を設定したら、どんな困難でも乗り越えようという強い意志を持たないといけない。成果が出るまで継続することが大事だ」と励ました。
この後、笹川会長は奨学生一人一人に奨学生認定証を手渡した。続いて、奨学生全員が廊下に出て笹川会長を囲み、記念撮影を行った。
奨学生は前日の29日にも日本財団ビルに集合し、1期生、2期生との交流会に参加した。また、尾形武寿・日本財団理事長と懇談し、「皆さんは社会から何かを望むのではなく、自分が社会に何ができるかを考えればいい。他人が何かして欲しいと考えては何も進まない」と励まされた。
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