鳥取県のUDタクシー整備事業が大臣表彰、バリアフリー化推進に貢献 (2017/1/19 日本財団)
バリアフリー化推進に多大な貢献
「官民一体の先駆的な取り組み」と評価
日本財団と鳥取県が同県内で進めているユニバーサル・デザインタクシー(以下UDタクシー)の整備事業が「官民一体となった先駆的なタクシーのバリアフリー化」として高く評価され、本年度の「国土交通省バリアフリー化推進功労者」に選ばれた。公共交通機関や道路、建築物などのバリアフリー化の推進に大きな貢献が認められた個人・団体の功績を称える制度で、石井啓一国土交通相が1月12日、本省内で、UDタクシーの取り組みを含む5件8団体に表彰状を手渡した。
2006(平成18)年12月施行の「バリアフリー新法」(高齢者や障害者が気軽に移動できるよう階段や段差を解消することを目指す法律)の趣旨を踏まえ、バリアフリー化の優れた取り組みを広く普及・奨励することを目的として、国交省は07(平成19)年度に大臣表彰制度を創設した。今回はその11回目の表彰式。
日本財団と鳥取県は15(平成27)年11月、5年間の連携協定を取り交わし「暮らし日本一の鳥取県」を目指して、中山間地域の生活支援や住民参加型の健康づくりなど3分野9つのプロジェクトを共同展開している。鳥取県のUDタクシーの取り組み。高橋紀子・同県地域振興部長のプレゼンテーション画面から
UDタクシーの整備事業はその一環で、一般社団法人「鳥取県ハイヤータクシー協会」への日本財団の助成事業として実施。高齢化や人口減少が進む地域の足として、年齢・性別・障害の有無にかかわらず、誰もが移動しやすい、新たな公共交通のモデルをつくることを目的に16(平成28)年4月から導入を開始した。
県全体での導入割合を高めるとともに利用環境の整備やドライバーの人材育成などを併せて図り、17(平成29)年1月までに125台を導入。18(平成30)年1月末までには県内を走るタクシーの約4分の1に当たる200台の当初整備目標を達成できる見通し。
表彰選考委員会は▽波及効果が大きい▽継続性が期待される▽困難な事業をやり遂げた▽優れた取り組み-を基準に大臣表彰者を決定。鳥取県のUDタクシーの取り組みは「官民一体となり、一気に導入する先駆的な事業を行った。特に車いす使用者をはじめとする県下の移動困難者に極めて大きい移動支援のインフラを整備した」と、いまだかつて一度もなかったUDタクシーの大規模導入と将来への期待を評価した。
講評で選考委員長の秋山哲男・中央大教授は、車両をたくさん持った後の制度開発をどこまでできるかが今後の重要な点だと指摘し、障害者など移動困難な人は移動距離が長くなるケースが多いことから、料金面のバリアも同時に取り除いてほしいと要請した。日本財団鳥取事務所の木田悟史・所長はプレゼンテーションの中で「ソフト面、特に政策との関わりなど、まだまだ課題は多いと感じている。皆さんの指導を受けながら、ぜひ他県にも参考になるようなモデルケースをつくっていきたい」と答えた。
今回は鳥取県でのUDタクシーの整備事業のほか、日本航空・日本エアコミューター、札幌市交通局、大阪市交通局、NPO法人「自立支援センターおおいた」の4件5団体のバリアフリー化への取り組みも表彰された。
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