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日本財団SIF2017―「変わる社会 変わる教育」大人と子どもが共に学び続ける社会へ (2017/12/8 日本財団)

「変わる社会 変わる教育」
日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017分科会

東京国際フォーラムで開催された「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」で11月18日、「変わる社会 変わる教育」と題する分科会が開かれ、大人と子どもが共に学び続ける社会での教育のあり方について討論した。フリースクールなどで学んだ中高生4人が登場し、会場からの質問に答えるなど、異例の展開となり、公教育の様々な問題点が浮かび上がった。

あいさつするパネリストと特別参加の中高生4人

あいさつするパネリストと特別参加の中高生4人

分科会では、一貫して民間教育に取り組んでいる市川力さんがディレクターを務め、塚越 暁・原っぱ大学ガクチョー、原尻淳一 Harajiri Marketing Design代表取締役、藤原さと・一般社団法人「こたえのない学校」代表理事 がパネリストとして参加した。4人とも公教育に携わった経験がなく、民間教育を実践している。

まず、市川さんが公教育よりも社会や実地で学ぶことが増えているとの米国立科学財団ライフの調査結果を示し、民間の学び場づくりの重要性を指摘した。市川さんは米国で日本人の子ども向けの学習塾を運営した後、東京都杉並区で小学生を対象にフリースクールを13年間続けた。今春、スクールを辞め、現在は探研移動小学校を主宰している。

民間教育の重要性を語る市川さん(左端)

民間教育の重要性を語る市川さん(左端)

このあと、原尻さんは戦後の日本を振り返り、「今は目的喪失の時代で、共通の悩みはイノベーションの人材が出てこないことだ」と指摘した。そのうえで、(1)内的動機が失われている(2)かえって成果が上がらなくなる(3)創造性が蝕まれ、依存性が強まる、などを問題点として挙げた。

続いて、ソニー本社で戦略部門を担当、長女の小学校入学を機に「こたえのない学校」を設立した藤原さんは、「今の状況を近代的発想で解決しようとすると、子どもの豊かな時間が奪われる」と主張。(1)探究心を大切にする(2)自分の好きなものを追求する(3)時空を超えるものを大切にする、などの教育を提言し、「当たり前のことを、当たり前に学ぼう!」と呼びかけた。

塚越さんは、原っぱや森の中で大人も子どもも一緒に泥遊びをしたり、オノやチェーンソーを使って小屋を作ったりする「原っぱ大学」を運営している。塚越さんは授業風景を画面に映し出し、「ただ遊ぶことが大事」と強調した。

この後、市川さんを「野のおっちゃん」と呼ぶ教え子ら4人が登壇し、自己紹介をした。高校1年の男子生徒は「テストがない学校で、1日中、ゲームをやっていた。その生活が1年続き、その間は廃人だったが、目標ができたときに本気で勉強しようと思った」と話した。

中学2年の男子生徒は「市川先生のフリースクールで6年間過ごし、今は公立中学に通っている。公立中学へ行ったら、低レベルだった。今は歴史、政治、心理学に興味がある」と語った。市川さんの教え子ではないが、活動などを通じて知り合ったと言う高校1年の女子生徒は「今は都立高校に通っている。ダンス部と歌声サークルに入っています」と笑顔で話していた。

自己紹介前に市川さんと話し合う中高生の4人

自己紹介前に市川さんと話し合う中高生の4人

4人の自己紹介を聞いて市川さんは「何で話がこんなにうまいのか。言いたいことを言えている」と驚いた様子。この後、市川さんが会場から質問を募ると、10人以上の人が一斉に手を挙げた。質疑の中から、ユニークなやり取りを以下にあげてみる。

質問(女性):「よく分からない中で、それについて詳しく知りたいと思った瞬間は?」
答え(高3男子):「気づいたら、そう思っていた。分からないと、体験してみようとなる」

質問:(高校の教諭)「私立高校で数学を教えているが、原っぱ大学がすごくおもしろいと思った。ウチの生徒も、インプットの時間をたくさん取ったら、みな数学で遊んでいる」
答え(塚越ガクチョー):「それはすばらしいなと思う。私は偶発的な遊びが起きやすいので、森を使っているだけだ」

質問(市川さん):「中高生から見て、大人と思う人はどういう人か」
答え(高1女子):「私たちの意見を受け止める方向でみてくれる人」
  (中2男子):「自分の理想を持っている人。我々を楽しませてくれる人」
  (高1男子):「思ったことを率直にいえる人が大人だと思う」

質問(女性):「親に対しての思いは?」
答え(高3男子):「大学受験もAO入試で合格した。小学校からフリースクールに入れてくれた親のチャレンジ精神に感謝している」

中高生4人と語り合う昨年の最優秀賞受賞の岩本悠さん(左)

中高生4人と語り合う昨年の最優秀賞受賞の岩本悠さん(左)

まだ、質問をしたい参加者が何人もいたが、時間切れで分科会は終了した。分科会で、こんなに質問が殺到したケースは珍しい。それだけ、社会の変化に教育が追いついていない現状を心配する参加者が多かったように見受けられた。

【メモ】フリースクール
不登校の子どもらが通う民間教育施設を指す。学校教育法の「学校」には当たらない。最近、フリースクールと行政が連携する動きが出てきて、行政側はベテラン教諭を派遣、スクール側は引きこもりの子どもの家庭訪問などをしている。

●日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017 ウェブサイト

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