前例のない大量の流木にどう対処すべきか―豪雨被災地に職員派遣 (2017/7/21 日本財団)
近く全体的な取り組み決定へ
前例のない大量の流木に作業難航
九州北部を襲った豪雨災害で甚大な被害が出た福岡県朝倉市の杷木地区で、日本財団から派遣された職員が7月10日から支援活動を開始した。これまでの被災地活動で協力関係を築いてきた「震つな」(震災がつなぐ全国ネットワーク)メンバーらと連携して活動を進める予定で、激甚災害指定に対する政府判断を見ながら、近く日本財団としての取り組みも決まる見通しだ。
朝倉市では杷木地区にあるため池が決壊する恐れがあるとしてこの日、市の災害対策本部が周辺の3地区に避難指示を出すなど引き続き緊張した状態が続いている。山間部のいたるところで土砂崩れが起き、なぎ倒された木々が谷筋を流れ落ち、堆積した流木が建物や道路、橋をふさいでいる。
現地の報道などによると、手入れの届かない人工林の土壌が想像を絶する豪雨で流出、土砂崩れにつながったケースも多いようで、流木の多くは流されるうちに表皮がはがれ、根を付けた状態で堆積。現地入りした日本財団・災害支援チームの黒澤司シニアオフィサーは「阪神・淡路大震災(1995年)以来、ほぼ全ての大災害の被災地を経験したが、これほどの流木被害を見たのは初めて」と語っている。
現地ではこれまでの被災地復興支援で親交のある「震つな」や「OPEN JAPAN」などのメンバーと合流、大きな木はチェンソーで切断、パワーショベルで動かし、下に堆積した土砂を取り除くなど汗だくの作業に取り組んでいる。
日本財団が被災地に職員を派遣するのは阪神・淡路大震災以降これで42回目。最近では昨年4月に発生した熊本地震で職員が約1年間、現地に滞在、復興支援活動に従事した。他団体のメンバーも含め当面、ウイークデーには6~7人、週末は12~13人が参加できる見通しで、行政や地元自治会などと調整しながら重機も活用して復興支援に貢献する考えだ。
福岡県と大分県を襲った今回の豪雨災害では10日までに両県で23人の死者が出ており、連絡が取れない人も20人を超えている。最も多数の犠牲者が出ている朝倉市では約1000人が避難生活を余儀なくされており、朝倉市社会福祉協議会は朝倉球場に災害ボランティアセンターを設置、10日からボランティアの受け入れを開始している。
●震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)ウェブサイト
●一般社団法人OPEN JAPAN ウェブサイト
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