熊本復興へ、障害者支援施設に仮設住宅完成 (2017/6/13 日本財団)
熊本地震で被災した第二明星学園
日本財団支援、生活環境の改善図る
平成28年熊本地震で被災した障害者支援施設「第二明星学園」で、復興支援の仮設住宅「シェアハウス燦燦(さんさん)」が完成し、同学園を運営する社会福祉法人「御陽会(みようかい)」(上益城郡山都町)は5月24日、お披露目と感謝の意を伝える落成式を開きました。日本財団は震災発生後、早々に現地視察を実施し、狭い避難所での生活を余儀なくされている利用者に、施設の再建までの間、快適で安全な居住環境を提供することを目的として、仮設住宅建設に向けて助成などの支援を行ってきました。
完成した仮設住宅は木造平屋建て、延床面積約140平方メートル。学園の敷地内倉庫を解体し建築しました。室内にはリビングを囲むようにして5室あり、1室2人計10人の利用が可能です。式典あいさつで御陽会の武元典雅・理事長は昨年4月14日の前震、16日の本震という2度の大きな地震に見舞われ、第二明星学園の建物はほとんど壊れて使えなくなった事情を紹介。「建物はつくり替えれば何とかなりますが、みんな無事だったことに本当に安どしました。日本財団から助成金をいただき、このシェアハウスをつくらせていただきました。大変ざん新で明るい建物になり、利用者の皆さんが過ごしやすく、居心地のいい建物になったと喜んでいます」と感謝の気持ちを述べました。
同学園の山﨑雅之・施設長が工事経過を報告した後、武元理事長が日本財団に感謝状を贈呈、日本財団災害復興支援センター熊本本部の梅谷佳明センター長が代表して受け取りました。梅谷センター長はあいさつで、日本財団が熊本地震で実施した被災地支援活動に加え、災害、福祉、子どもなど多方面で支援の取り組みを展開していることを説明し「今回の地震では熊本県下で30カ所ほどの福祉施設へ調査に行き、基本的に被害を受けた全てのところに支援をさせていただきました。今回完成した建物をぜひ、できるだけ活用をしてください。震災支援だけでなく、いろいろな問題についても今後ともお手伝いをさせていただきます」とエールを送りました。熊本県や御船町の各代表からもお祝いの言葉がありました。
二度にわたって最大震度7の激しい揺れに襲われた一連の熊本地震。山﨑雅之施設長によると、震源地の熊本県・益城町に隣接した御船町所在の第二明星学園の建物7棟は甚大な被害を受け、被害状況の視察調査に来た県関係者との協議の結果、本館は建て替え、グループホーム1棟は大規模改修、1棟は一部改修、居住棟2棟は解体、倉庫棟は解体という判断になりました。
最初の震度7が発生した時、施設とグループホームには利用者計約50人がいました。夜勤者、当直者、そして駆け付けた職員の素早い対応で、いったん学園の車や職員の車に全員が分乗待機。幸い車で25分ほど離れた、御陽会運営の田代西部福祉センター(御船町田代)にはほとんど被害がないことが分かり、夜間に全員、無事に避難移動をすることができました。同センターは日本財団の助成で2007(平成19)年度、旧小学校をグループホーム、就労継続支援B型事業所に整備した場所です。
避難をした皆さんは当初は同センター内のさまざまなスペースを利用して雑魚寝状態で生活を続けていました。劣悪な居住環境で長期間の生活を余儀なくされているため、早急な対応が求められました。現在では、改修工事が終わったグループホーム2棟や今回完成した仮設住宅への分散で、田代西部福祉センターでの仮居住者数は減少し、今より少しゆとりある生活空間を確保できることになりました。本館の建設はまだ少し先のことになりそうですが、本館ができた後の仮設住宅は「生活困窮者レスキュー事業に活用する予定」(山﨑雅之施設長の話)です。
御陽会は1966(昭和41)年に設立され、共育・共生の地域づくりへの貢献を理念に、さまざまな障害者支援事業を行っています。
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