1月5日は「遺言の日」―紀伊国屋書店でフェア開催予定 (2016/12/9 日本財団)
遺言書作成時、60歳以下が過半数
日本財団のアンケート調査で判明
今春、遺贈寄付サポートセンターを開設、遺言書の作成キャンペーンを推進している日本財団は12月6日、東京・赤坂の同財団ビルで記者会見し、毎年1月5日を「遺言の日」とすると発表しました。また、遺言書を作成した200人にインターネットでアンケート調査した結果、60歳以下の現役時代に作成した人が過半数を占めていることが分かりました。作成のきっかけは、「自身や家族の病気」や「(退職や記念日など)人生のライフイベント」が多いことも明らかになりました。
記者会見には、テレビ、新聞などメディア関係者約60人が出席しました。まず、笹川陽平・日本財団会長が会見し、「日本人は長い間、死について語ることをタブーと思ってきましたが、死のことを考えることは生きることを考えることと表裏一体ではないでしょうか。家族が集まる習慣のある正月に、家族で遺言について話をしてもらいたいと思い、1月5日を遺言の日として登録しました」と、述べました。笹川会長は遺言書を気楽に書けるよう、川柳を公募することを公表し、「遺言をあなたが書かず誰が書く」との自作の川柳を読み上げました。
続いて、ドネーション本部ファンドレイジングチームの高木萌子が「遺言の日」を制定した1月5日前後に行う「書こうよ、ゆいごんキャンペーン」と、日本財団が実施した遺言書に関するアンケート調査について説明しました。
遺言の日キャンペーンの概要は以下の通りです。
1.ゆいごん大賞(大切な人へ残したい「ゆいごん」募集)
募集するのは(1)川柳(2)手紙(400字以内)(3)つぶやき(140字以内)の3種類で、12月6日から来年2月5日(当日消印有効)まで受け付けます。全世代が対象で、来年3月初旬、ウェブで入賞者を発表します。
最優秀ゆいごん大賞1点に10万円、入賞3点に各3万円、佳作5点に各1万円、つぶやき賞10点に各5,000円、紀伊国屋書店新宿本店賞10点に各5,000円を贈呈します。
応募先は、〒107-8880 赤坂郵便局留 日本財団「ゆいごん大賞」、またはウエブサイト(遺言の日.jp)まで。
2.「遺言の日」記念イベント
来年1月5日(木)午後1時20分から4時半まで。日本財団ビルで行政書士の佐山和弘さんによる「楽しい遺言書作成セミナー」などが開かれます。
3.ゆいごん図書館~偉人たちの言霊~展の開催
来年1月5日から2月5日まで日本財団ビル1階バウルームで、伊達政宗、吉田松陰、スティーブ・ジョブズらの遺言や辞世の句などを展示します。
4.「書こうよ、ゆいごん」書店フェア
2017年1月5日から2月5日まで紀伊国屋書店新宿本店3階で、「生と死を考える」関連本コーナーを設置します。(自筆証書遺言作成セットを無料配布)
遺言書には、本人が全文を自筆で作成する自筆証書遺言と、公証人が作成し公証役場が原本を保管する公正証書遺言書の2種類があります。自筆の場合は、手軽で費用がかからない半面、本人が実際に書いたものかどうかを巡って争いになる可能性があります。公正証書遺言の場合、偽装や紛失の恐れがない半面、費用がかかり、遺言の内容を証人に知られてしまうデメリットがあります。
日本財団は今年4月1日に遺贈寄付サポートセンターを開設し、遺贈による寄付や終活に関する相談に応じてきました。これまでにサポートセンターに寄せられた相談で最も多かったのは遺贈・寄付の手続きに関するもので162件、次いで相続の仕方など相続全般に関するもので72件、遺言書の書き方などに関するものが71件、不動産の処分に関するものが49件などとなっています。
<遺言書に関するアンケート調査結果>
日本財団のアンケート調査は、全国の40歳以上の男女1万人を対象に、11月25日から28日まで、インターネットにより実施しました。その結果、遺言書を作成していると答えた人が200人でした。内訳は、男性126人(63%)、女性74人(37%)。回答者の年齢は、60歳以上が最も多く111人(55.5%)。次いで50代が47人(23.5%)、40代が42人(21%)でした。50代以下の現役世代が44.5%と半数に迫っています。
遺言書の対象となる資産の額では、1千万円未満が最も多く75人(37.5%)。次いで1千万円から5千万円で64人(32%)、5千万円超は61人(30.5%)でした。つまり、資産が5千万円以下の一般家庭での遺言書作成が約6割を占めていることが分かります。
続いて法定相続人を尋ねたところ、配偶者140人、子ども92人、母親、兄弟姉妹がともに29人、父親20人、孫7人、甥姪が4人の順でした。法定相続人がいないと答えた人は15人で、全体の7.5%でした。
遺言書の作成時期については60代と答えた人が最も多く70人(35%)。次いで50代と40代が同数の46人(各23%)、4番目は30代で14人(7%)。5番目は70代と20代が同数の5人(2.5%)。「覚えていない」と回答した人は14人(7%)でした。つまり、60歳以下の現役時代に書いた人が55.5%を占めているという結果でした。
また、遺言書の種類については自筆証書遺言と答えた人が139人と最も多く、69.5%を占めています。次いで公正証書遺言と答えた人が35人(17.5%)、秘密証書遺言が3人(1.5%)、「分からない」は23人(11.5%)でした。
遺言書作成のきっかけについて尋ねたところ、一番多かったのは「自身の体調不良」で51人、続いて「新年や記念日などの節目を迎えて」27人、「退職」25人、「家族の死」23人、「相続争い」22人などの順(複数回答)。
遺言書作成の理由については、家裁における相続関係の相談件数がこの10年間で約2倍に増えていることを反映して「相続争いを避けるため」が圧倒的に多く、87人にのぼっています。2番目が「人生のけじめのため」で43人。そのほか、「特定の相続人にあげたい」26人、「子どもがいない夫婦のため」23人など、相続対策に絡む理由が並んでいます(複数回答)。
また、遺言書作成者の7割以上が遺言書の存在を家族や親族などに伝えており、作成者の半数以上が他人に遺言書の作成を勧めていることが分かりました。さらに、遺言書作成をきっかけに、どんな変化が起きたかを尋ねたところ、「今後の生活全般に関する不安が減った」と答えた人が78人、「減っていない」と答えた人は33人(回答者111人)でした。また、「家族・親族間に相続争いが発生する不安が減った」と答えた人が89人、「減っていない」と回答した人は31人(回答者120人)という結果がでました。全体として、遺言書作成により、人生の様々な不安が減る傾向にあるといえそうです。
● 「遺言の日」制定キャンペーンと公募の問い合わせ先
日本財団「ゆいごんの日事務局」
電話:0120-778-013
メール:yuigon@jimukyoku.biz
ウェブサイト:遺言の日.jp
● その他、遺贈、各アンケート調査について
日本財団遺贈寄付サポートセンター
電話:03-6229-5190
担当:高木
ウェブサイト:日本財団遺贈寄付サポートセンター
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