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「決意持って自殺者一人でも減らす」―自殺防止モデル構築へ、阿部守一長野県知事 (2016/9/20 日本財団)

具体的な数値目標定め対策強化
日本財団と長野県が協定書締結

「いのち支える自殺対策」プロジェクトを進める日本財団と長野県は連携して自殺防止モデルの構築に取り組むことで合意、9月14日、長野県庁で協定書を締結しました。日本財団がこうした協定を締結するのは東京都江戸川区に次いで2件目。協定期間は3年で、日本財団の笹川陽平会長は「(自殺者の削減に向けた)具体的な数値目標を定めた上で、長野県と具体策を打ち出して行きたい」と述べ、阿部守一・長野県知事も「やるからには決意を持って1人でも自殺者を減らしていきたい」と語りました。

握手を交わす阿部・長野県知事と笹川・日本財団会長

握手を交わす阿部・長野県知事=左=と笹川・日本財団会長

日本では1998年から14年間、年間3万人を超す自殺者が発生、2010年から減少に転じたものの昨年はなお2万4千人が自殺で亡くなり、先進7カ国では突出して高い自殺率となっているほか、15~39歳の若者世代の死因のトップを自殺が占めるなど深刻な状況が続いています。このため政府は今年4月の自殺対策基本法の改正で、全国の都道府県、市町村に独自の自殺対策をまとめるよう義務付けるとともに、来夏には国としての自殺対策計画策定に向けたガイドラインを打ち出す方針です。

それぞれが協定書に署名

それぞれが協定書に署名

一方、長野県の昨年の自殺者数は378人。人口10万人当たりの自殺者数は378人と全国19番目。自殺防止に向けた阿部知事の強い決意を受け、この日の協定となりました。調印式で笹川会長は「日本は犯罪も少なく美しい国といわれるが、実際には子どもの貧困などさまざまなひずみが表面化している」とした上で「全国のモデルとなるような自殺防止対策を打ち出したい」と述べました。

メディア各社が取材

メディア各社が取材

今後、双方の連携で自殺者数の削減、自死遺族らに対する支援強化などを通じて「生きることの包括的な支援」に向けた総合戦略の立案、地域ネットワークの強化などを進める方針で、阿部知事も「県内には“地域の見守り意識”がなお強く残っている。日本財団の知見なども生かし、毎日1人が自殺で命を失う事態を改善したい」と決意を語りました。

調印後、県庁近くのホテルで「長野県“いのち支える地域自殺対策”トップセミナー」も開催され、長野県内の市町村の担当者も参加、「自殺対策の動向」(厚生労働省)、「これからの日本の自殺対策」(自殺総合対策推進センター)などの報告が行われました。

自殺対策トップセミナーも開催

自殺対策トップセミナーも開催=ライフリンク提供

日本財団、長野県とともにプロジェクトに取り組むNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」の清水康之代表も「誰も自殺に追い込まれることのない信州へー地域のつながりが命を守る」と題し基調講演。「自殺対策とは“もう生きられない”“死ぬしかない”という状況に陥っている人が、それでも“生きる道”を選べるように支援すること」、「自殺対策とは、地域・社会づくりでもある」などを語りました。

ライフリンク・清水代表も基調講演

ライフリンク・清水代表も基調講演

日本財団では今回の協定に先立ち、全国で4万人を超す大規模なインターネット調査を実施、「4人に1人が自殺を考えたことがある」、「5人に1人が身近な人を自殺で亡くしている」、「過去1年以内に自殺未遂を経験した人は53万人に上ると推計される」など深刻な現実が浮き彫りになり、民の立場で自殺対策の強化に取り組む方針を打ち出していました。

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