4人に1人が「自殺したい」―世界自殺予防デー、現実と向き合おう (2016/9/10 政治山)
日本財団は7日、全国の20歳以上の男女4万人を対象とした、自殺に関する意識調査の結果を発表しました。本調査は同財団が展開する「いのち支える自殺対策プロジェクト」の一環として行われ、自殺念慮(自殺したい気持ち)と自殺未遂の実態を明らかにすることで自殺対策の必要性を周知し、自殺対策の推進に寄与することを目的としています。本調査の主な分析結果は以下の通り。
●4人に1人が「本気で自殺したいと考えたことがある」
4万413人のうち1万282人、25.4%が「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答。時期については「いま現在」6.2%と「1年以内」7.3%を合わせて13.5%が過去1年以内と回答。
●自殺未遂経験者は全国53万人超(推計)
男性の0.5%、女性の0.6%が「自殺未遂の経験有り」と回答。平成27年国勢調査速報値の人口比を元に算出した結果、男性26万4千人、女性27万1千人、全国では53万5千人が過去1年以内に自殺未遂を経験したと推測。
●5人に1人が身近な人を自殺で亡くしている
「家族・親族」11.3%、「友人」10.1%、「恋人」0.3%と21.7%の人が身近な人を自殺で亡くしていると回答。他には「職場の関係者」9.0%との回答もあり、3割超が周囲で自殺を経験。
●若年層(20~30代)はもっとも自殺のリスクが高い世代
20~39歳の34.5%が「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答(全世代では25.4%)。過去1年以内の自殺未遂経験者は1.28%(全世代では0.6%)。
●半数以上が「自殺のことで相談しない」
「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答した人のうち、73.9%が「相談しない」と回答。過去1年以内の自殺未遂経験者のうち51.1%が「相談しない」と回答。
本調査の結果は、自殺が私たちにとってもどれほど身近なものなのかを如実に表しています。とくに注目すべきは、自殺したいと考えたり自殺未遂を経験した人の多くが「相談しない」ことです。自殺を思いとどまった理由としても「相談して」と回答したのはわずか3%でした。
今年4月の自殺対策基本法改正によって各自治体は自殺対策計画の策定と実施を行うことと定められていますが、今回の調査結果は計画策定に大いに資するものとなるでしょう。
9月10日は世界自殺予防デー。先進国の中でもっとも自殺者数が多い日本の取り組みは、世界からも注目されています。
調査結果の詳細は、日本財団ホームページよりご覧いただけます。
<著者> 市ノ澤 充
株式会社パイプドビッツ 政治山カンパニー シニアマネジャー
政策シンクタンク、国会議員秘書、選挙コンサルを経て、2011年株式会社パイプドビッツ入社。政治と選挙のプラットフォーム「政治山」の運営に携わるとともにネット選挙やネット投票の研究を行う。
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