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浦和一女に何がおこったのか~2018年埼玉県立高校(学校選択問題採択校)入試概況(2) (2018/6/29 クオリティ埼玉

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平成30年度(2018年春)の埼玉県公立高校入試では、いわゆる「公立離れ」の傾向がみられました。2年目を迎える「学校選択問題」への対応、3年後の大学入試を見据えた準備(大学入試新テスト1期生となるため)、私立高校生への学費軽減策などいくつかの要因が組み合わさっていて、その影響は公立高校それぞれに違った形で表面化しているため、現在中3あるいは中2の保護者にとっては情報の分析が大変難しく感じられることでしょう。

今回は、2年目を迎えた学校選択問題を採用している20校について出願者を確認し、受検生の動向を確認していきます。

浦和一女に何がおこったのか~2018年埼玉県立高校(学校選択問題採択校)入試概況(1)

テスト

浦和一女に何がおこったのか

ここでは浦和一女について詳しく分析してみます。志願者数の推移をもう一度掲載しますのでご確認ください。

資料2 平成30年度 埼玉県公立高校における入学志願者数

偏差値 学校選択問題
実施校A
2018年
志願者数
(1)
2017年
志願者数
(2)
2-1 2→1
増減率
2017→2018
定員増減
73 浦和 504 500 4 0.8%  
72 浦和一女 448 539 ▲ 91 ▲16.9% 40名定員減
71 大宮(普通) 484 500 ▲ 16 ▲3.2% 40名定員減
69 春日部 490 510 ▲ 20 ▲3.9% 40名定員減
69 川越 508 503 5 1.0% 40名定員増
69 さいたま市立浦和 491 407 84 20.6% 40名定員増
68 川越女子 549 538 11 2.0% 40名定員増
67 蕨(普通) 392 520 ▲ 128 ▲24.6% 40名定員増
66 不動岡(普通) 422 467 ▲ 45 ▲9.6%  
66 所沢北 508 520 ▲ 12 ▲2.3%  
66 越谷北(普通) 433 434 ▲ 1 ▲0.2% 40名定員減
  グループ総計 5,229 5,438 ▲ 209 ▲3.8%  

(埼玉県教育委員会HPより)

浦和一女は、定員40名減に対して志願者は91名減少しているため、倍率が1.39→1.25と急落しました。原因として挙げられるのはとにもかくにも「大学合格実績」の1点だと想像できます。今春の受検生(現高1生)が注目した「2017春卒の大学合格実績」を資料3にまとめました。

資料3 浦和一女 主要大学合格実績のべ人数(現浪こみ)

2012春卒 2014春卒 2015春卒 2016春卒 2017春卒 2018春卒
早稲田 90 92 105 91 48 54
慶應 32 31 21 21 16 22
上智 34 39 39 33 35 20
明治 77 98 115 101 100 84
立教 94 96 120 112 117 82
法政 48 62 61 64 73 46
学習院 23 48 44 34 42 39
東京理科 35 61 65 55 36 47
日本 24 41 54 57 55 55
東洋 16 18 62 48 50 59
東京女子 31 57 61 62 70 57
日本女子 57 66 67 72 72 68
津田塾 22 55 45 36 59 26
国公立 114 138 126 105 108 113

国公立大学への合格実績が2014春の卒業生に比べて30名減となっている点も注目ですが、何より主要私立大の合格実績が伸び悩んでいることに注目してください。早稲田大学の合格者数が91名から48名に急減したことが象徴的で、その一方で明治・立教・法政といった大学の合格者数が増えているために「全体的に在校生のレベルが下がった」と読み取った保護者の存在を無視することはできません。もちろん私立大学(特に文系)が難化している影響を受けていることは事実ですが、都立の上位高校はいずれも実績を落とすことなく堅調に推移していることを考えると、浦和一女の課題が浮かび上がってきます。

この学校では大学合格実績を、「(現役・浪人を含めた)のべ合格人数」だけでなく「現役合格実人数」まで公表していますので、その課題についてデータから分析していきましょう。

資料4 浦和一女 主要大学現役合格者推移

2012春卒 2014春卒 2016春卒 2017春卒 2018春卒
のべ 実数 のべ 実数 のべ 実数 のべ 実数 のべ 実数
早稲田 48 39 60 45 71 40 37 30 48 31
慶應 18 18 14 12 16 16 11 11 16 14
上智 24 22 28 23 28 15 31 18 16 14
明治 44 32 57 47 78 58 62 51 61 32
立教 58 45 72 52 92 66 88 59 67 43
法政 22 20 43 29 47 37 50 45 29 26
学習院 12 11 27 23 30 27 31 29 28 27
東京理科 16 11 30 25 35 23 17 14 17 12
日本 14 13 27 23 37 32 36 31 39 29
東洋 10 7 13 12 36 29 26 17 41 25
東京女子 25 22 44 35 54 41 57 44 34 26
日本女子 44 35 43 37 60 48 52 41 54 39
津田塾 14 14 36 27 26 24 50 37 20 15
国公立 76 76 92 92 77 77 70 70 78 78
卒業生 367 365 400 374 363
うち浪人 126 94 102 96 123

(学校HPより)

私立大学の場合、ある大学の3つの学部に1人で合格すると「のべ3人」とカウントされることを覚えておいてください。2017年春、2018年春に注目すると、浦和一女から現役で早稲田大学に合格できる生徒が10%に満たないという衝撃的な事実が見えてきます。また、明治・立教・法政といった大学への現役合格者も軒並み減って、毎年100人前後だった浪人生が123人(3人に1人が浪人!)と増えているわけですから、保護者からの厳しい評価が続くことが予想されます。

具体的には例えば大宮高校へのシフトを考えたり、積極的に国公立大学進学を目指す層以外には早稲田大学にそのまま進学できる早大本庄をはじめとする私立高校(都内附属校も含む)と天秤にかけられる可能性を否定することはできません。また、理系生徒の合格力の目安となる東京理科大の合格者数が少ないこともあって、理系への進学を目指す御家庭が敬遠するケースも増えるかもしれません。

次回は蕨高校に見る「埼玉県立高校の未来」となります。

提供:クオリティ埼玉

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