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県議会・市議会 視座「埼玉県5か年計画から考える2025年問題について」~議会より (2017/1/4 クオリティ埼玉

上田清司知事は4期目の選挙で、2025年問題を掲げ出馬し、先ごろ、埼玉県5か年計画大網(平成29年度~33年度)を公表した。しかし、任期は平成31(2019)年8月30日で、計画の途中で任期満了となる。この埼玉県5か年計画大網と2025年問題について、立石康広議員(自民)が提案・質問し、上田清司知事が答えた。

埼玉県庁

立石康広議員(自民)からの質問

厚生労働省のデータから、埼玉県の医療費の伸びは全国2位(2015年度)。100歳以上の高齢者数は47都道府県で47番目(人口流入が多く、人口が増加しているため)。しかし、100歳以上の人口が減少に入ると、一気に最下位を脱して、勢いよく数が増えるものと思われる。健康寿命が全国で男性が21位、女性が34位。男性は少し改善したが、女性活躍を望む社会の中で、女性は順位を下げている。

平成28(2016)年度、後期高齢者、単身者、夫婦世帯、認知症高齢者の増加。

埼玉県は、日本一のスピードで高齢化が進んでいくといっても過言ではないなかで、市町村の課題となっている地域包括ケアを推進していかなければならない。多くの課題を抱える現状で、地域包括ケアの手法が示されていない。県主導でモデル4市町村の実施した手法を市町村に掲示し、平成28年度~30年度までの効果を検証し、取組手法を確立。平成31年度に、手法とモデルを掲示して、全市町村で地域包括ケアを構築。この進め方で対応が十分なのか。

上田清司知事の回答

昨年度の医療費の伸びが全国2位は把握しておらず、こうした原因について、推移をよく見ながら、今後の傾向を確かめなければならない認識。

健康寿命について、女性がやや平均より悪いことは、5か年計画の指標についても、確実に達成できるように努力しなければならない。

5か年計画は、多方面から意見を聴き、案として作ったもの。できるだけ良いものを提案したいと考える。

2025年問題については、団塊の世代が75歳に突入するピークの始まりがスタートするために、2025年度までに施設型・病院型の医療介護から、地域型・在宅型に切り替えていくのが中心課題となっている。その課題が地域包括ケアシステムである。

医療関係の専担組織がなく、相当する課もない、人材もないという市町村に対して、意見交換をしながら4つほど先行モデルを作り、これを先行して3年程度でまとめて、4つのモデルの中から1つ選び、市町村独自の味付けをしてそれぞれ完成に向けて進めてもらう仕組みを作ってもらっているところ。市町村と信頼のネットワーク、医師会や看護協会等のネットワークをしっかり市町村と結びつけながら、地域包括ケアの仕組み作りと、2025年問題の全体的な解決、あるいは5か年計画と連動した解決にむけて努力したいと考える。

立石議員からの提案・質問

上田知事らしさ、埼玉県独自のもの、高齢化の日本一のスピードに対応するものは何なのか具体性が感じられない。県議会の役割は非常に重く、知事が埋めきれていないことを徹底的に議論しなくてはならない。マスコミも喚起して、この5か年計画をしっかりと意見を述べてやらなければならない課題と感じる。

地域包括ケアシステムモデル事業の目的は、住み慣れたまちで、年をとってもいつまでも住み続けられるまちをつくることであり、地域包括センターを中心とした他職種の人々の力、市町村の力量が問われる事業である。

問題なのは、「目標を県がモデルを提示し」とあるが、モデルとなった4つの市町の高齢者の数と全県の数を比較すると、高齢者の数は4パーセントに過ぎない。老人福祉計画では、約10地区ゾーンを定めているが、4市町は県南南西部と圏央道地域に偏っていて、県北や圏央道地域でも西から東まで幅広い地域があるにもかかわらず、モデルにしたことが正しかったのか疑問だ。

「県主導によりモデル市町村で実施した手法を市町村に提示」とあるが、「県主導」よりも「市町村」が主役で県がサポートすべきではないか。県の役割と市町村の役割をはっきりさせるべき。市町村の役割のために、人材の提供や情報の提供に徹して、モデルは県から4つのまちで考え体験したものを出すというのではなく、それぞれの市町村に随時、日本全国のいい例を提供する、さらに困ったことがあったとき、全市町村の相談を県が全体で受けるという県の役割だ。

上田知事からの回答

手を挙げたところを中心に先行モデルを作る努力をしている。今後、順次手をあげたところに先行ではなくても、2番手のモデルなど示していく方法も考えられる。いずれにしても、何らかの形で先行モデルを通じて構築する以外に方法はない。市町村が独自に味付けしていく部分があるので、限界があることを理解してほしい。むしろ市町村、医師会、看護協会との関係の速やかなリンクが意義のあることと考える。

指摘されたことはもっともで、しっかり受け止める。

所感

「他人事では済まされない2025年問題」で、2025年問題や地域包括ケアシステムについて取り上げたが、待ったなしの状況。県民一人ひとりが、他人事ではないと認識し、こうした取り組みに任せきりではなく、動向に注目していかなければならない重要問題だ。

岡 アヤコ

提供:クオリティ埼玉

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