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【三芳町長 林伊佐雄 #2】補助金を全廃 団体からの批判 (2018/4/26 HOLG.jp

(第1話から続く)

住民の多くは財政に無関心

加藤:財政白書は現在も毎年作られているのでしょうか。

林町長:住民と職員が三芳町の財政状況をまとめた財政白書のことですね。定期的に作っています。そこで分かったことは、住民の多くは財政に無関心だということです。

加藤:なかなか興味を持てないですよね。

林町長:最初に行った財政白書を作る勉強会には、20人近くの住民が集まったんですね。第二回目は10人弱、しかもほとんど議員さん。住民と一緒に町に関心を持ってもらいながら作ることが目的の財政白書でしたから、それでは意味がない。だから、その時は作らなかったんです。

林伊佐雄 三芳町長

若い世代にこそ地方財政のことを知ってもらいたい

林町長:今年はもっと若い世代に財政を知ってもらうために、中学生を対象にして勉強会をしました。そこでいろんなご意見を聞いたので、来年度に反映していこうと思っています。

加藤:それはおもしろいですね。

林町長:若い人は斬新な視点を持っていますから。

加藤:特に学生には税金を意識する機会が無いですよね。税制や使われ方を知ることは大切だと思います。

林町長:若いうちから税金の使い道に関心を持ってもらうことが大切です。自分の家でのお金の使われ方や、自分でお小遣いの使い方を決めるように、この町を良くするために今どんなところに税金が使われているのかを理解していただく。そして、今後どこにお金をかけるべきか意見を聞いたりしました。

 すぐには政策に生かされないかもしれませんが、今まで気が付かなかった斬新な意見もありました。まずは、関心を持ってもらったというのは大きな一歩だと思っています。

関係者が財政課題に意識を持つことが重要

加藤:三芳町の取り組みのなかで、他の自治体に真似してほしい部分があれば教えてください。

林町長:職員、首長、議会のみんなが財政に課題があるという意識を持って取り組むことです。これは、財政健全化に必要な環境でそれを意識しました。三芳町は先進自治体が進めた施策を参考に良いものを取り入れ、三芳町に合うものを積極的に取り入れて醸成させていく。一方で職員が挑戦を恐れない環境を用意することを大切にしています。こちらはぜひ真似してほしいですね。

財政的な課題や構造は一度には変わらない

加藤:財政健全化に向けた取り組みの中で、特に有効だったことは何だったのでしょうか?

林町長:職員を採用しない時期を作ったり、事業仕分けを行ったり、補助金をゼロにして公募制に変えたことなどですね。町長の給料の3割カットも行いました。

 財政的な課題や構造は一気には変わりません。長期的な視野でみないと改善できない。まずは本気で変えなければ、三芳町が凋落してしまう。その危機感がなかったので、職員や住民に施策を提案し、みんなで行革を進めていこうと伝えました。この一つが決定打というのではなく、いろんなことの積み重ねです。

補助金を全廃 団体からの批判

加藤:補助金制度の全廃はかなり影響が大きかったのではないでしょうか。

林町長:自分を支持していた仲間、友達、同級生たちから「そこまでやるのか、わずか1万円だろ」と言われ、各団体のみなさんからもかなりの批判をいただきました。

 かなり厳しい政策だったのですが、それでも見直しをしなくちゃいけない。正直、本当にできるのかと思うぐらいプレッシャーがありました。

 ただ、自治体は昔からのつながりで補助金を出すことが多く、どうしても見直しができなくなる部分もあります。三芳町では一度全廃し、補助金の案件を公募し、審査も第三者の市民、有識者、企業経営者などが入った評価委員会が行いました。これによって、新しい活動にも補助金を回しやすくなりました。

自分の首をかけて進めた

加藤:補助金を減らすと次の選挙戦を不利にしてしまいます。それは気になりませんでしたか?

林町長:その覚悟をもって首長になったので、やらないわけにはいきません。マニフェストに掲げたので、それはもう約束です。もちろん、自分の首もかけています。ただ、必ず最後は理解してくれるとは思っていました。

加藤:受け取る側も、行政が補助金を出すことが当たり前であると考えてはいけないと思います。ただ、人間心理として、一度もらえるようになった活動資金を毎年毎年もらっていると、それが当たり前になってしまいがちですよね。

(第3話へ続く)

提供:HOLG.jp

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