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【三芳町長 林伊佐雄 #1】町の財政状況を住民と共有 (2018/4/8 HOLG.jp

林伊佐雄  三芳町長

【林 伊佐雄(はやしいさお)経歴】
1957年埼玉県入間郡三芳町生まれ。三芳町役場職員、神明社宮司、三芳町議会議員などを経て、2010年に三芳町長就任。1991年のフィリピン・ピナツボ山で起きた大噴火では現地へかけつけて被災者支援を行なった。この経験を機に、海外における孤児やストリートチルドレン、シングルマザーの生活改善事業を次々に展開する。国内では阪神淡路大震災での被災者支援をはじめ、日本海重油災害時は、ボランティアセンターの立ち上げからスタッフとして携わるなど、多数のボランティア経験を持つ。三芳町消防団団長、日本青年会議所理事、NPO法人国境なき奉仕団理事などを歴任。

――埼玉県三芳町。自然豊かで都心からのアクセスも良いこの町が、「トカイナカ」で「意外といい」と言われ始めた背景には、自らアイデアを出し合いながらまちづくりを行なっている職員たちがいる。国の地方交付税不交付団体の1つである三芳町で、危機的状況にあった財政を立て直すとともに、職員一人ひとりの能力を引き出しながら、まちづくりを指揮した林伊佐雄町長にお話をうかがった。

加藤:町長を目指された経緯を教えてください。

林町長:2つの想いが合わさって政治家を目指すようになりました。

 1つ目は青年会議所時代での海外ボランティア活動。日本の地域に目を向けるきっかけとなりました。海外の状況を肌で感じた一方で、日本や日本の町は大丈夫なのかと疑問を感じたのです。もっと地域のことに関心を持ち、変えなくてはいけないと思いました。

 2つ目は日本の歴史と文化の学び。職業柄、日本の歴史や文化に触れる機会が多いのですが、近代史を学ぶなかで、先祖の想いを守りながら日本の文化をしっかり伝えていかなくてはいけないと強く思っていました。先祖が居たから、今、ここに私がいる。同じような志のある人を探さなくては、と思っていましたね。

 この二つの想いから、町をどうにかしなければならない、日本の文化を伝えていきたいという気持ちから、政治家を目指すようになりました。

町長になれば、自分で町を変えられる

加藤:議員から町長になることで役割が変わったと思います。議員時代に見えなかった気づきなどはありましたか。

林町長:議員の時は、自分がいくら意見を言っても「町は変わらない」と感じていましが、町長になれば自分で変えられると思いました。

 組織運営という視点でいうと、青年会議所での理事長経験など、組織のなかで実際に人を動かしていたので、首長になってから何か劇的に変わったことはなかったです。会社経営のように、組織を動かすこと自体はまったく同じだと思います。だから、議員時代と町長になってからは、そんなに変わらない印象です。

首長の任期は住民が決めること

加藤:首長の任期のあり方について、お考えはありますか?

林町長:選挙で選ばれるわけですから、自分ではいつまで続けるのかは決められません。私の施政を住民のみなさんがどう判断されるのかだと思います。ですから、適正な任期というものがあるのかどうかはわかりません。

 もし一期四年で、自分が考えていることがすべてできるのであれば一期で終わりでしょうし、やり残したことがあれば二期でしょう。その間も、住民のみなさんが評価してくれないとできないこともあるので、任期は自分だけでは決められないと思います。

町の政治課題を浮き彫りにしなければならない

加藤:財政問題を強く押しだすと、敵を作ってしまったりもするじゃないですか。なぜそれにも関わらず、財政健全化を進めようとされたのでしょうか。

林町長:町の財政を知らなかったら議員としての役目を果たせないと思っていたので、地方財政の専門家の大和田一紘先生のセミナーなど、財政に関する勉強会に議員の時、積極的に参加しました。そこで得た財政の視点から当時の町を見た時に、非常に大きな課題があると感じたんです。

 首長も職員も、議員のみなさん、あるいは住民のみなさんも財政のことをあまり認識していなくて、これは良くないと思っていました。早く何とかしなければと思い、議員1期目の途中で町長選に立候補しました。勝てないと言われていた選挙だったのですが、きっちりとした政策を打ち出し、町の政治課題を浮き彫りにするなど、住民のみなさんに「変わる」ことの重要性、必要性を訴えた結果、当選することができたんです。

町の財政状況の問題を住民に伝える

加藤:財政再建を進めるために、はじめに何を行いましたか?

林町長:住民のみなさんに町の現状をよく理解してもらうための取り組みを始めました。
 私が議員のころにリーマンショックがあり、経常収支比率がどんどん右肩上がりになっていきました。一方で財政力指数はだんだん下がってきて、非常に危機感を持ちました。

 「不交付団体だから大丈夫」という風潮のなか、このままだと三芳町の負債は140億以上になるという予測もありました。このまま、ビジョンや対策もなく場当たり的な政治をやっていたのでは危険だと思い、最初に住民のみなさんに危機感を共有する必要があると思いました。
 そのために、「いま、お金はどう使われているか」「今後どう使われていくのか」をしっかり説明しながら、経常収支比率や町債残高や財政支出はどうなっているのかという住民の関心が低いと思われる話も知っていただく必要性を感じていたんです。

 それを踏まえての取り組みの一つが住民と一緒に財政白書を作ることでした。作る過程の中で理解していただこうと思ったんです。

脱財政硬直化宣言とは

加藤:脱財政硬直化宣言をされています。あまり聞き慣れない言葉ではありますが、これはどういったものだったのでしょうか。

林町長:三芳町緊急行財政対策プランとも言って、新たな財源確保や人件費、補助金の見直しなどを実施し、真剣に行財政改革を行いますという宣言です。実は、平成23年度の決算で、三芳町の経常収支比率が100%になってしまったんですよ。これはいよいよ危ないと。その危機感をしっかりとみなさんに伝えるため、意思表示をしました。

加藤:職員の方だけでなく、住民の方にも理解してほしかったということでしょうか?

林町長:当然そうですね。黄色信号が赤信号だということを伝えるために、職員もそうですし、議員さんもそうですし、そして住民のみなさんの理解ももらわないと行財政改革を進めていくことはできませんから。

(第2話へ続く)

提供:HOLG.jp

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