フリーランスも失業保険がもらえる?~失業保険のルールとは~ (2018/1/10 nomad journal)
失業保険とはどのようなものか
失業保険とは一般的な表現で、実際は雇用保険の失業給付、正式には「基本手当」を指しています。(ここではわかりやすいようにそのまま「失業保険」という表現を使います)失業保険は誰でももらえるものではなく、手続きも必要です。ここでは雇用保険の加入条件、失業保険を受給するための条件と手続きについて紹介します。
なお、副業であるアルバイトなどの給与所得をえる場合の雇用保険の注意点について『ダブルワークの時の雇用保険取り扱いは?雇用保険の上手な活用方法と注意点』という記事でまとめましたので合わせてご参照ください。
1.雇用保険の加入条件は?
雇用保険は正社員であれば全員が加入します。そのため、正社員だった人が失業した際には全員が失業保険を受給できます。ただし、パートタイムの場合、以下の加入条件があります。以下の基準を満たしていれば加入する必要がありますので、会社にも確認しておきましょう(厚生労働省ホームページより)。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
2.失業保険の受給条件は?
失業保険は誰でもらえるものではなく、以下の条件を満たした人のみが受給できます。加入期間など、離職をする前に確認しておいた方が良いでしょう(1.失業後の生活に関する情報)。
- ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
- 離職の日以前2年間に、「被保険者期間」が通算して12カ月以上あること
ただし、倒産・解雇等により離職した方(「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可
3.失業保険を受給する際の手続きはどうすれば良い?
手続きに関してはハローワークで行う必要があります。離職すれば失業保険が給付されるわけではありませんので注意しましょう。また、手続きには「離職届」が必要になります。退職した後に会社から送られてきますので、必ず内容を確認して、手続きをするようにしましょう。
4.失業保険で支給される金額と日数は?
支給される金額は「基本手当の1日当たりの額(基本手当日額)は、離職日の直前の6か月の賃金日額(賞与等は含みません)の50%~80%(60~64歳については45~80%)」で、上限もあります。これまでの給与全額が給付されるわけでありません。さらに支給を受けることができる日数も最大で360日ですので、失業保険を長期に受給できるわけではありません。
フリーランスが失業保険をもらうために必要なことは?
フリーランスであっても受給条件を満たしていれば失業保険を受給することはできます。ただし、前述したとおり、重要なのは「失業の状態」にあることです。フリーランスとは失業の状態でしょうか。そうではありません。特に開業届を出すのであれば、失業している状態とは言えません。つまり、フリーランスの人が失業保険をもらうことはできないのです。
フリーランスが失業保険をもらうとばれるのか
フリーランスとして働いていても働いていることを申請しなければ、ばれないのではないかと考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、実際には取引先があなたとの取引を確定申告しますから、必ずばれます。もし不正受給がばれた場合、以下のペナルティが課されます。これだけのリスクを負ってまで不正受給をすることに意味はありませんので、不正受給をするのはやめましょう(不正受給について)。
- 不正の行為のあった日以降のすべての給付が停止されます。(支給停止)
- 不正に受給した金額を、全額ただちに返還しなければなりません。(返還命令)
- 不正の行為により受けた額の2倍の額の納付が命じられます。(納付命令)
- もし、返還や納付をしないときは、財産差押えなどの強制処分がなされます。
- 特に悪質な場合は、刑事事件として刑法(詐欺罪)によって処分されます。
再就職手当はもらえる可能性がある
フリーランスは失業保険をもらうことができませんが、条件によっては再就職手当はもらうことができます。再就職手当をもらうためには以下の条件をすべて満たす必要があります(厚生労働省ホームページより)。
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
- 待期満了後の就職であること
- 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
- 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(資本・資金・人事・取引等の状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます。)
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
- 原則、雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること
フリーランスとして事業をする場合、給付制限がない場合は待機期間終了後、給付制限がある場合は待機期間終了後1カ月が経過すれば再就職手当を受給できます。支給日数が残っていれば残っているほど支給される額が増えますので、支給日数を多く残してフリーランスになることをおすすめします。
フリーランス向けの失業保険にも注目しよう
フリーランスは失業保険は受給することはできず、再就職手当のみ受給できる可能性があります。しかし、現在、政府ではフリーランス向けの失業保険も検討されています。今後、フリーランス人口が増えることで、こうした保険も設立される可能性がありますので、今後の議論にも注目していきましょう。
記事作成/ジョン0725
- 関連記事
- フリーランスの開業準備のためにすべきことは?~職種別に必要な準備~
- フリーランスの屋号はどう決める?~フリーランスが屋号を決める理由とその決め方~
- フリーランスになることでどんなメリットとデメリットがあるのか?~会社員・起業・派遣社員との比較から~
- フリーランスとフリーターの違いは?生活を安定させるためのアイデアも
- フリーランスの消費税はどうする?~フリーランスは消費税を請求できる?払う必要がある?~