【リアルな移住体験記】未経験からペンション経営者へ。Uターンをして家業を継いだ元グラフィックデザイナー （2016/11/7 nezas）
女性：20代後半に北海道にＵターン
デザイナーを目指して上京。しかし父が倒れ急遽、家業を継ぐことに
私は、北海道の富良野で生まれ育ちました。高校卒業後、18歳のときにデザインを学ぶため単身東京へ引っ越しました。上京してからは専門学校で広告デザインを専攻。卒業後は広告制作会社などでアルバイトをしました。その後、22歳のときに神奈川県横浜市の出版社に就職。念願のグラフィックデザインの職を得ることができました。
しかしデザイナーとしてキャリアをスタートしてから2年目、26歳のときに実家の父が体調を崩してしまったんです。
私の両親は、私が10歳のときから北海道富良野でペンションを経営していました。立地が良いこともあり旅行客からの評判も高く、住み込みのシェフ2人に加え、客室係のスタッフ2人を雇う規模になっていました。
しかし父が倒れてしまったことで運営が困難に。元々、数十年後にはペンションを私へ譲ってもらうことになっていたのですが、前倒してすぐに継いで欲しいという話になりました。
接客も経営も未経験。大きなプレッシャーの中、富良野で再スタート
急遽、実家に戻りペンション経営を継ぐことになったものの、大きな不安を抱えた中でのスタートでした。
私はデザイン業しかしたことがありませんでした。お客様の対応もしたことがなければ、もちろん経営もしたことがありません。しかも私は人付き合いが苦手。デザイン業に進んだのも、あまり話さなくてもいい職業かもしれない……と思っていた、ということも一因です。
実家のペンションは、ありがたいことにリピーター客も多い上、雑誌に掲載されるほど有名。そんな立派なペンションを私が継ぐことで、足手まといになってしまうのではないか、せっかく順調にいっていた経営が傾いてしまうのではないか、と大きなプレッシャーを抱えていました。
最初は正直、尻込みをしてしまっていました。しかし父や母をはじめ、今まで勤めていた馴染みの従業員の皆さんが後押しをしてくれたおかげで、少しずつ前向きになるように。サポートをしてくれるとの言葉も嬉しかったです。また前職の上司にも、「やってみた方がいい」と背中を押してもらいました。
それに、ペンションのある地域はとても良い場所。純粋にここを無くすのはもったいないと思ったんです。
自分のアイディアで、外国人旅行客の獲得に成功。経営も右肩上がりに
実は、私が継いでからペンションの評判が更に上がり、経営もかなり良くなったんです。
Uターンをすることに決めてからは、ペンションが載った雑誌を読んだり、ネットでペンションの口コミを調べたりして、お客様視点からの評価を徹底的に確認しました。身内からの情報だけですと良いことに偏りがち。やはり実際に宿泊した人たちの評判が一番重要な判断材料だと思ったからです。
そんなときに外国人観光客向けにアピールをすれば、更に大きなペンションにできるのではないかということに気がつきました。
そこで日本国籍を取得したアメリカ人を雇い、通訳兼フロントを任せました。私自身も日常会話くらいの英語なら話すことができますので、積極的に英語を使うように。
すると予想以上に多くの外国人観光客にきてもらえるようになりました。このおかげで経営も前年を大きく上回る結果に。
一方でペンションや旅館、ホテルなどの観光産業は、シーズナリティがあることは弱点。たとえば北海道であれば、冬はスキーやスノーボードを目的としたお客様も多く、売り上げもあります。しかしそれ以外の時期は、閑散としてしまうことも少なくありません。そういったシーズン外でも、いかに工夫をしてお客様を取り込むかという戦略を練らなければならない点は、かなり難しい課題だと感じています。
しかしここの土地は、なんといっても自然が豊か。空気も美味しいですし、時間の流れもゆったりしています。私自身、東京にいたときよりも心が穏やかに生活できていると思います。
提供：nezas
- 関連記事
- 【リアルな移住体験記】ワークライフバランスを求め、地元・広島へUターン
- 【リアルな移住体験記】都会のキー局AD職から、地方局総合職へ。安定を求め家族で秋田へＩターン
- 利用者に合う商品を提供する地銀の移住者向け住宅ローン優遇
- 古民家マッチングで「人の気持ちがわかる街」の魅力を届けたい―小樽民家再生プロジェクト
- 葉っぱビジネスの徳島上勝町に若者が集まっているって、ホント？
