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地方議員選挙のマニフェスト(ビラ)解禁に向けて~地方創生は政策本位の選挙から (2017/1/5 ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟共同代表/横浜市会議員 草間剛)

 昨年8月2日に開催されたローカル・マニフェスト推進地方議員連盟総会において、 下記の「地方議会議員選挙におけるマニフェスト解禁についての要望決議」を全会一致で採択しました。

「地方議会議員選挙におけるマニフェスト解禁についての要望決議」
~地方創生の鍵は政策本位の地方議会議員選挙から~

人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、国と地方が一丸となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう取り組む「地方創生」の重要性が更に叫ばれる中で、首長とともに地方自治体における二元代表制の一翼を担う議会の役割が大きく問われている。

地方創生の鍵となるのが、国からの押し付けではない、各自治体の地域活性化につながる自立した様々な政策であるならば、その政策を首長とともに推進していく地方議会の選挙のあり方を政策本位にしていくことが地方創生には欠かせない。地方議会選挙において選挙期間中に有権者に何も配れない、政策を伝えられない現状はこの趣旨から大いに逸脱している。特に、18歳まで選挙権が拡大された今、未来を担う有権者に政策を届けられないことは必ず改善されなければならない。

ここに、全国超党派850名の地方議員等から成る、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は、自主自立の地方創生を地方議会から完遂していくため、来年予定されている東京都議会議員選挙、並びに2019年予定されている統一地方選挙に間に合うよう、公職選挙法第142条に規定する法定ビラの頒布を地方議会議員選挙においても認めるよう、公職選挙法の改正を要望する。

2016年8月2日
ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟

首長マニフェスト解禁から10年経っても地方議員には認められず。

 2003年に地方から始まったマニフェスト運動の広がりの中で、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は2005年5月に結成され《初代共同代表:浦口高典・和歌山県議、沢田力・さいたま市議(当時)、松野豊・流山市議(当時)》、その1カ月前には、ローカル・マニフェスト推進首長連盟が結成されています《初代共同代表:増田寛也・岩手県知事、 石田芳弘・犬山市長、逢坂誠二・ニセコ町長(すべて当時)》。

 同年7月にはLM推進地方議員連盟と首長連盟、そして市民から成る推進ネットワークの3者共同で、「ローカル・マニフェスト型選挙の一層の推進のための公職選挙法改正に関する緊急声明」を提言し、首長選挙・地方議員選挙におけるマニフェスト解禁を訴えました。

 全国知事会や21世紀臨調などといった諸団体の働きかけ、国会における超党派議連の動きもあり、2年後の2007年2月に公職選挙法が改正され、同年4月の統一地方選挙から首長選挙のマニフェストが解禁されました。

 その後、統一地方選挙は既に2回実施され、首長マニフェスト解禁から10年が経とうとしていますが、未だ地方議員のマニフェスト解禁(ビラ頒布)は認められていません。

 LM推進地方議員連盟はもちろん、全国市議会議長会からも「地方議会議員選挙における法定ビラ頒布の制度化」が毎年要望されている中で、昨年2016年4月には衆参両院で地方議員選挙のビラ解禁を盛り込んだ「公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」が全会一致で可決され、ようやく機運が高まってきました。

2003年岩手県知事選・増田寛也氏のマニフェスト

2003年岩手県知事選・増田寛也氏のマニフェスト

地方創生は政策本位の地方議員選挙から。

 2013年の公職選挙法改正により、2015年の統一地方選挙から本格的に地方議員選挙もネット解禁となりました。私はマニフェスト大賞のコミュニケーション部門で優秀賞、最優秀賞や審査委員会特別賞を受賞するなど、かなりネット選挙に力を入れた議員ですが、投票日前日以外、9日間の選挙期間中の私のウェブサイトのビュー数はあまり普段と変わりませんでした。私自身の問題もあるでしょうが、ネットで地方選挙の候補者を積極的に検索する方はまだまだ少ないのだと思います。

 一方、地方議員選挙で認められているほかの手段、選挙カーも候補者の街頭演説も基本的には名前の連呼です。選挙カーなどは一瞬で通り過ぎてしまうので、政策を効率よく届けようにも難しく、好むと好まざるとに関わらず、名前の連呼になってしまいます。

 また、そもそも公職選挙法をよく読んでみると、選挙中の「連呼行為」は禁止されていますが、例外規定として走行中の選挙カーの車中では許されていて、政策の訴えは停車中のみ認められているという訳が分からない状況になっています。

 紙媒体で言えば選挙公報が認められていますが、そもそも発行していない自治体もありますし、大選挙区で候補者が何十人もいる自治体の選挙公報は1人当たりのスペースも小さく、結果候補者は政策ではなく、枠いっぱいに名前を掲載するくらいでしか差別化できなくなってしまい、結果、いくら「政策で選んでください!」と言っても、有権者からしてみれば十分に政策で選べない環境にあります。

 マニフェスト解禁(ビラ頒布解禁)をすると、選挙費用がより多くかかるという答弁が国会でもなされましたが、首長のやり方と同じものだとすれば、配れるビラは選挙ハガキの2倍で都道府県議は1万6000万、政令市議は8000枚、政令市以外の市は4000枚で、1枚の単価にもよりますが、横浜市のケースで考えれば新たにかかる費用は約1000万円。年間予算の0%にも満たない予算で選挙の質が上がり、候補者を選択する側の有権者にとって有益であれば民主主義のコストとして問題ないと思います。

 地方創生が叫ばれていますが、各自治体で自分たちの街の活性化策を考え、議決するのが議会で、その構成員たる議員を選ぶ地方議会議員選挙が政策本位でなければ、地方創生など絵に描いた餅です。地方の選挙を政策競争にするよう地方の選挙を変えることが、地方創生の第一歩だと確信しています。

 横浜市会でも12月議会において国への意見書を全会一致で可決しましたが、今、全国の議会で意見書が採択されつつあります。地方議会、地方議員の失われた信頼を1歩ずつ回復していくためにも、まずは選挙から政策型に変えていくべきです。この夏の東京都議会選挙、次の統一地方選挙に向けて、皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

草間剛 横浜市会議

著者プロフィール
横浜市会議員 草間 剛(くさま つよし)
 [ホームページ]
1982年生まれ。早稲田大学マニフェスト研究所事務局長、国会議員第一秘書を経て、2011年横浜市会議員選挙初当選(最年少、現在2期目)。自民党横浜市連政調副会長、自民党本部水素エネルギー研究会地方議員代表、関東学院大学非常勤講師なども務める。

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