基準値超え指定廃棄物を17校の敷地内に今も保管、横浜市が移転先検討へ (2016/7/28 タウンニュース)
福島第一原子力発電所の事故に起因する一定の基準値を超えた、放射性物質を含む約3tの指定廃棄物(※)が、横浜市内の公立17校の敷地内に未だ保管されている。市は先月末、学校外の保管場所選定にあたっての確認事項を決定。今後、候補地の検討を進めて行く方針を示した。
指定廃棄物とは、校舎に降った雨水をトイレの洗浄水として再利用する「雨水利用施設」に溜まった『汚泥』で、ドラム缶の中に保管されている。第一原発事故から、5年以上が経過した今も、市内18区のうち、7区の公立小中学校と1区の特別支援学校に保管されているのが実情だ。
保管場所が最も多いのは都筑区の6校で、次いで緑区(4校)、鶴見区(2校)のほか、磯子区、西区、港南区など5区に1校ずつ計17校に約3t分ある。学校で保管している自治体は、全国で横浜市のみ。
指定廃棄物はそもそも、国が責任を持って処理を行うとされているが、最終処分場のめどが立たず長期化している。
市教育施設課によると、17校の空間線量については、環境省の基準を満たす数値だと発表。しかし、指定廃棄物保管校のあるPTA会長は、「ないにこしたことはないので、子どものために校外へ移してほしい」と思いを口にする。
候補地に6条件
6月下旬に開催された関係局長らによる市放射線対策本部会議で、「学校以外の保管場所を選定するにあたっての確認事項」について話し合いを実施。その結果、一般市民(特に子ども)が原則立ち入ることができない場所であることや一定期間(10年程度)利用可能であることなど、6項目の条件に基づき、学校外の候補地を検討することを決めた。
一方、学校外への移動を市に訴えてきた市民団体、学校・保育園の放射能対策 横浜の会(樋口敦子共同代表)関係者らは7月15日、早急な施設外管理などを要望。これに対し市は、具体的な候補地やスケジュールは決まっていないとしたうえで「児童、生徒の安全を考え、候補地を決めたい」と話している。
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