区議会の自主解散――首長と議会同日選の賛否を問う  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップ    >   記事    >   区議会の自主解散――首長と議会同日選の賛否を問う

[用語解説]自主解散

区議会の自主解散――首長と議会同日選の賛否を問う (2015/1/27 政治山)

 東京・台東区では、吉住弘区長の死去に伴い、3月1日に区長選が行われます。同区議会の選挙は4月26日に予定されており、一部会派が自主解散の決議案提出を検討しています。

 区長選と区議選を同時に行うことで投票率の向上とコストの削減を図ろうという取り組みは、昨年11月に区長選を終え4月に区議選を迎える新宿区でも見られましたが、どのような課題があるのでしょうか。新宿区で同日選実施に取り組んでいる猪爪まさみ前都議会議員にうかがいました。

短期間に選挙を繰り返すことのデメリットとは

 区長選挙は区長の死去から50日以内に行われるため、3月1日が投票日になる。4月には区議会議員選挙があり、台東区では2カ月続けて選挙を行う事になる。区長選挙と区議会議員選挙を異なる日に行うとデメリットは大きい。

 第1に、新宿区の試算では、1回の選挙には約1億円の支出、2回の選挙では2億円。同日にすれば、5000万円は削減できる。

 第2に、単独区長選挙の投票率は中野区、杉並区、新宿区では20%代の前半しかない。区議会議員選挙の投票率は50%に近い。

 第3に、区長選挙の立候補者は少ないので、有権者が気づかないうちに選挙が終わってしまい、身近な区政のリーダーが知らないうちに決まる恐れがある。

党利党略ではなく、大所高所の視点から判断を

 このように考えると、区長選と区議選は同日が良い。そこで、台東区議会の一部では区議会の自主解散を検討しはじめた。区議会の自主解散により、区長選挙と同時に区議会議員選挙が行える。今年の区長選挙だけでなく、4年ごとに同時になるのだ。

 自主解散には、出席議員の5分の4の賛成が必要。自分の政党にまたは自分に不利か有利かで判断するのではなく、台東区としてどうするのが良いのか、賢明な判断を望みたい。

 なお、本日(1/27)午後の本会議にて、「たいとうフロンティア」と「たいとう21」に所属する区議13人が「東京都台東区議会解散に関する決議」案を提出しましたが、反対多数により否決されました。その理由や主張については、改めてご紹介します。

平成27年第1回臨時会に提出された「東京都台東区議会解散に関する決議」

平成27年第1回臨時会に提出された「東京都台東区議会解散に関する決議」

猪爪まさみ氏【取材協力】
前東京都議会議員 猪爪まさみ

2期6年の新宿区議会議員を経て、2005年7月より2013年6月までの2期8年、都議会議員を務める。在任中は、文教委員会理事、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会委員長などを務めた。
関連記事
共産党が「いっせい地方選挙」と呼ぶ理由(2015/1/24)
ふぞろいの統一地方選、統一率は27%(2015/1/23)
統一選前の最後の議会、質問テーマはどうやって決まるの?(2015/1/20)
年間20分?「討論」を制限する渋谷区議会(2014/9/26)
そのほかの用語解説