第50回 市職員ではできない!ならば、市議会議員に!  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第50回 市職員ではできない!ならば、市議会議員に! (2013/9/4 長野県佐久市議会議員 飯島雅則氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第50回は、長野県佐久市議会議員の飯島雅則氏による「市職員ではできない!ならば、市議会議員に!」をお届けします。

◇      ◇      ◇

ぴんぴんころりの街、佐久市

 佐久市は長野県の東玄関口、東京から車で2時間弱、新幹線で約72分です。降水量が全国的にも少なく、日照時間は年間2,000時間を越え、全国でもトップクラス。

 しかし、もっとも有名なのは“長寿の街”であること。今年、厚生労働省が発表した「都道府県別生命表」(2010年)で、長野県は男女ともに長寿日本一。その長野県において男女ともベスト20位以内に入った市町村は佐久市のみ。(男性15位、女性19位)しかも、1人あたりの老人医療費が低く、健康で元気でいきいき過ごしている老人が多いことで、全国から大勢の視察を受けています。

 健康のまま天寿を全うする意味の“健康で長生きし(ぴんぴん)寝込まず楽に大往生する(ころ)”をヒントに命名された「ぴんころ地蔵尊」が皆様のご参拝をお待ちしております。

プロローグ

―16度の早朝、3カ月間辻立ち 飯島雅則氏

―16度の早朝、3カ月間辻立ち 飯島雅則氏

 市役所職員として、土木課や都市計画課など、勤務約40年のうち、3分の2は技術畑で過ごしてきました。その間、別段政治に興味もなく、組合運動にもあまり積極的ではありませんでした。

 こんな私に青天の霹靂(へきれき)ともいえる人事異動が下されたのは、4年前(平成21年)のこと。4月末に新市長が誕生し、6月に「総合文化会館整備推進室長」に命ぜられました。

総合文化会館建設の是非を問う「住民投票」

 平成22年11月14日、佐久市総合文化会館を建設すべきか否かを決めるため、住民投票が行われました。
結果は、
反対 31,051票(71.07%)
賛成 12,638票(28.93%)
この結果を受け、市長は即日「文化会館は建設しない」と表明しました。

 【住民投票に至るまでの経過】

 ・文化会館建設を望む市民運動は約30年前からあり、市民の寄付を含め約20億円の基金を積み立てていた。

   ↓

 ・前市政において、議会も全会一致で予定地確保、基本設計を実施済み。

   ↓

 ・平成21年4月、新市長が誕生。総合文化会館建設の是非を問う「住民投票」を行うと明言。

   ↓

 ・同日実施の市議選で再選された議員を中心に「住民投票は議会の形骸化や無用論につながる」との反対意

  見が多数を占め、新市長と対立。

   ↓

 ・「市民意見を確認しなければ、事業は進められない」とする市長の強い意志から、住民投票条例案を可決。

  ただし、議員提案による修正案として、「投票率が5割未満の場合、住民投票を不成立とする」ことと

  なった。

 詳しくは佐久市の広報と、私のホームページをご覧下さい。

「住民投票」の裏側で

 室長となった私に即待ち受けていたのは、6月議会における答弁書の作成。賛成派、反対派、双方からの連日にわたる抗議に対応。住民投票に向けて、臨時広報の作成や21回に渡る地元説明会を立て続けに実施しました。また、5割以上の投票率達成のため、ツイッターで企業協賛を呼び掛けたり、投票日前1週間は街頭に課長たちが10人ぐらいずつプラカードや旗を持ってPRするなどのアイデアを実施しました。

 市長は自分の態度は明らかにせず、中立で望むという姿勢を取りました。そのため、職員は厳正に中立を貫いたのですが、老人会など各種会合の市長あいさつでは、「合併特例債といえども、借金は借金。しかも、市が使えるお金の総額は決まっているので、文化会館でお金を使えば、その分、福祉に使える分が薄まる」と否定的意見を発言していたため、賛成派からの抗議への対応は苦しいものでした。

「住民投票」の後に

 「財政を圧迫する大型公共事業に対し、住民投票という手法により、民意と行政及び議会とのズレを浮き彫りにし、ストップをかけた」という事で、各メディアは市長を礼賛しました。市民も「住民投票を実施した市長なので、市民の声に耳を傾け、合併特例債などの借金をなるべく使わない政策を行っている」と思われている方が多いです。

 ところが、投票日の約1年後に、市長は、「合併特例債を使える今が佐久市にとって、最後のチャンスだ。有利な起債なので、356億円を全部使い切る」と明言しました。そして、文化会館予定地跡には約6億円の公園(用地代込み38億円)・総合運動公園に65億円、武道館などに50億円以上、温泉利用型健康施設に15億円など、まるでバブル真っただ中のような施策を打ち出し、現在も事業実施中です。

「義を見てせざるは勇なきなり」

 市では公共施設の更新時期を迎え、保育園や小中学校の建て替え、地域の会館の建て替え、斎場、ゴミ焼却場建設、などなどが目白押しです。公共施設マネジメントにより将来予測を行えば、既存施設の維持管理・更新費用だけで財源不足に陥ることは明白です。

 職員として施設管理に携わってきた者なら、肌で感じられます。だから、大勢の現役・OB職員が心配しているのです。特に、昭和36年に旧佐久市が赤字再建団体として合併したことを知っている者はなおさらです。節約を重ね、長野県下ではトップクラスの健全財政を築きました。でも、財政力指数は19市中13位。ここで無理をすれば大変なことになります。

 もちろん職員として、機会があるごとに部長や市長、そして議員にこのことを発言してきました。しかし、返って来る言葉は「そんなことは気にしないで、自分に与えられた仕事をしていればよい」「市長がやりたいって言うんだからしょうがない」でした。

 「ならば、あの住民投票は何のために行われたのだろう?子どもや孫たちにツケを背負わせてはならない!誰も言わないなら、自分が言うしかない!」と、私の心に火が着きました。

 定年まであと2年。親戚はもちろん、上司も友人も大反対でした。田舎の市です。地元から推されて議員になる人がほとんど。「政策じゃ議員にはなれないぞ!」と面と向かって言われもしました。それらを振り切り、2012年の11月いっぱいで退職。事務局長は同年の8月ごろフェイスブックで知り合った隣区の方、副事務局長、副会計責任者も心意気に同感してくれた他地区の方。会計責任者は妻。そして、後援会長を市職員のOBが引き受けてくれたのは、12月の暮れでした。もちろん、後援会組織など組みようもありません。それでも、OBや、最終的には地域の方が「役員」としてお手伝いしてくれました。

 また、1月4日から投票日前日まで、毎朝7時から8時半まで、交差点に3カ月立ち、-16度という寒さの中、信号の変わるまでの2分間以内に政策を訴え続けました。パフォーマンスとしての辻立ちではなく、たとえ1台、1人であっても1話完結で聞いてもらえるようにした結果、窓を開けて聞いてくれたり、拍手をしながら通り過ぎたりしてくれる方が増えました。その結果、4月の選挙で当選することができました。

 議員となったことで、やっと市長と同じ土俵に上れました。6月議会では、早速、公共施設マネジメントの促進。「未来の子供たちにツケを回さない」ため、ハコモノ建設の見直しを迫りました。

 また、職員時代から要望し、財政で落とされてきた「各区へ小型除雪機を配備」を区長への独自アンケートを元に迫り、「できるところからやっていく」という回答も得ました。今は、森林の活用について、地方事務所、市の複数課と勉強会も始めました。

 職員ではできなかったことです。議員だからできることがたくさんあります。行政に対しては是々非々で望むことはもちろん、政策提言をしていきたいと考えています。

著者プロフィール
飯島 雅則(いいじま まさのり):長野県佐久市議会議員 1期目。市役所職員を中途退職し議員に。「普段、議員は何をやっているのだろう?」こんな問いに答えるため、ホームページなどで”議員報酬明細書””活動報告書(時間入り日程表)”を毎月発表している。ニックネームは「イイジマン」。地元FMでパーソナリティをボランティアで担当していた時から呼ばれている。
HP:飯島雅則後援会公式ホームページ
facebook:飯島雅則 / いいじま雅則後援会
twitter:ナイル(飯島雅則)
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