【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】
第44回 相模原市議会の議会基本条例に関する特別委員会での議論より (2013/7/24 神奈川県相模原市議会議員 阿部善博/LM推進地議連会員)
政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第44回は、神奈川県相模原市議会議員の阿部善博氏による「相模原市議会の議会基本条例に関する特別委員会での議論より」をお届けします。
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議会のあり方を示す「議会基本条例」
相模原市議会では、2013年3月に議会基本条例に関する特別委員会(岸浪孝志委員長)を設置し、2013年度内での条例制定とその後1年間の実際の運用を目指して取り組みを進めています。
議会基本条例の必要性や意義についてはおおむね誰もが賛同できるのですが、いざその進め方について話し合ったところ、さまざまな意見が出てなかなか同意に至ることができませんでした。私個人としては、2012年に『自殺対策基本条例』を市議会民生常任委員会で制定した経緯を思い出し、ただ「思い」や「理念」について議論するのではなく、条例案を出し条文の形にまとめていく、その過程で意見を出し合い議論していく方が効率的でもあり、分かりやすいことを主張しました。何より、条文そのものになる言葉について議論し結論を出しているのですから、後戻りの心配も少なくなります。また、何か叩き台になるものがないと、なかなか意見も出しづらく、議論もかみ合わないのでは、と思われます。
一方で、私の意見に反対の方からは「叩き台が出されると、議論がそちらの方向に誘導されはしまいか」「理念の議論で同意できれば、そのまま条文になる」などの懸念や意見が出されました。私は、「議論が偏らないよう、誰かが叩き台を出すのではなく、みんなで出し合えばいい」「抽象的な議論ではなく、具体的な議論をしないと時間もかかりまとまらない」「あとでまた同じ議論が繰り返される心配がある」などの思いも持ちましたが、参加委員による合議制ですので、取りまとめを委員長に一任しました。その結果、さまざまな意見を出し合い、議論した内容を正副委員長でまとめ、そこから議論を継続することとなりました。そのため、委員長はまず条例の総枠となる章立てと項目案を、短期間でいろいろな意見に配慮しつつまとめることになりました。
私は、この特別委員会は「条例を作るための委員会」と考えているので、スケジュールや市民との意見交換など、手順や実務的な観点が先に出てしまいます。しかし、条例制定の取り組みを通して、議員はもちろん、より多くの市民や関係者が「議会」についてもう一度考え直す絶好の機会であることも確かです。議会のあり方を示す基本条例を作っているのですから、その過程自体が、議会の本来のあり方を体現するようなものでなくてはなりません。そんなことを考えつつ、条例制定に向け、今後も積極的に議論し、取り組みを進めて行きます。
- 著者プロフィール
- 阿部善博:相模原市議会議員。1970年5月9日生まれ。神奈川県相模原市出身。2003年相模原市議会議員初当選(現在3期目)。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟第4代共同代表を務める。地元での議会活動・地域活動の他、「電子自治体」「eデモクラシー」「ネット選挙」「議員の心得」「選挙川柳」等で特色ある取り組みを行っている。
HP:やるぞ!阿部よしひろ
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