第117回 ローカル・マニフェストの検証に向けて  |  政治・選挙プラットフォーム【政治山】

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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第117回 ローカル・マニフェストの検証に向けて (2015/1/7 神奈川県相模原市議会議員 阿部善博/LM推進地議連共同代表)

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第117回は、神奈川県相模原市議の阿部善博氏による「ローカル・マニフェストの検証に向けて」をお届けします。

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 ローカル・マニフェスト運動に、全国の意欲的な議員の皆さんと一緒に取り組ませていただいています。本年(2015年)4月に統一地方選挙を控え、もう一度、ローカル・マニフェストとは何か、今の時期にやらなければならないことは何か、を考えています。

 そもそも政治におけるマニフェストとは、事後検証可能な選挙公約集のことで、地方自治体の首長候補や議員候補が作るものをローカル・マニフェストと言っています(と私は理解しています)。具体的な財源やスケジュールと、数値的な目標を示し、その政策がどうして必要なのか、どうやって実現するのか、その施策を実施することによって有権者の生活はどう変わり、メリットやデメリットはどうなのか、といった議論を巻き起こすきっかけとなり得るものがローカル・マニフェストです。

 有権者はローカル・マニフェストを見て誰に投票するかを決定し、当選者は自分のローカル・マニフェストに掲げた政策の実現に取り組む。こうしたサイクルを確立することで、選挙の場を自分たちのまちについて議論する場、みんなで考える場、として機能させる役割もローカル・マニフェストは持っています。「見たことがある」とか「人に頼まれた」という理由で選ぶ「お願い型」の選挙から、「何をするのか」「まちをどうするのか」という「約束型」の選挙への大転換です。

 ここで大切なことが、マニフェストの事後検証です。当選したら、自分のやりたいようにやっていたのでは、何のためのローカル・マニフェストだか分かりません。あの時の約束は果たして守られたのか、しっかり検証してこそのローカル・マニフェストです。この事後検証があるからこそ、選挙の時にもしっかりとローカル・マニフェストの中身が吟味されるようになるのです。

 この事後検証は、まずは議員自ら検証を行ってみることです。具体的なやり方の一例を示します。

1.前回の選挙において掲げた「選挙公報」「マニフェスト」、リーフレット等の「配布物」、ホームページ等の記述などを用意します。これがローカル・マニフェストです。

2.この4年間で、自分が行った質問や視察等の調査、委員会や特別委員会その他の活動、市民の皆さんと取り組んできたことなどを振り返ります。これが活動実績です。

3.選挙時に掲げたローカル・マニフェストと、活動実績を突き合わせます。その結果、見えてきた課題や反省、有権者にとって有意義であったと考えられる取り組みなどの評価を行います。

4.こうした一連の検証作業から、次のローカル・マニフェスト作成に向けての基本的な考え方をまとめていきます。

 検証結果は、ホームページに掲載して多くの人に意見を求めたりすることが大切です。そうしないと、独りよがりの評価と思われたり、都合の良いところだけ検証していると受け取られてしまうことがあるかもしれないからです。

 この後、次のローカル・マニフェストを作成するときには、この検証時のことを踏まえなければなりません。また、この4年後にはどのように検証を実施するのかも含めて考えるようにするべきと思います。

 可能であれば、最低限のローカル・マニフェストの資料と、活動実績を示すものを標準化し、第三者機関のようなところで、客観的な検証を行いたいと思います。広くローカル・マニフェストの作成から、実際の議員としての取り組み、そして事後検証まで標準的な手法で行われ、良かった取り組みは広く共有し、課題等は謙虚に反省し次の活動で修正できるようになれば、地方議会全体の活性化につながり、現在の議員不信の払しょくする原動力にもなるように思います。

 ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は、今年10回目を迎える『マニフェスト大賞』のように、地方議員自らの手で、自分たちの活動を検証し、評価してきました。ローカル・マニフェストの自己検証と、客観的な検証・評価手法についても具体的な形で提示したい、との声を聞いています。

 皆さんのお考えをぜひお聞かせください。より良い地方議会のために、一緒に取り組みましょう。

阿部善博氏著者プロフィール
阿部善博(あべよしひろ)
相模原市議会議員。1970年5月9日生まれ。神奈川県相模原市出身。2003年相模原市議会議員初当選(現在3期目)。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟第4代共同代表を務める。地元での議会活動・地域活動の他、「電子自治体」「eデモクラシー」「ネット選挙」「議員の心得」「選挙川柳」等で特色ある取り組みを行っている。
HP:やるぞ!阿部よしひろ
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